ラリった兵隊に「恐怖の仕置き」…金正恩、軍の薬物汚染に強硬策

北朝鮮の金正恩党委員長はかねてから、覚せい剤など違法薬物犯罪の一掃に力を入れてきた。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、最近では軍内部の薬物汚染対策に注力しているもようで、当局は、罪状が重い場合には死刑もあり得ると予告しているという。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の軍関連の情報筋はRFAに対し、「人民武力省傘下の司法機関が検閲班を編成し、各部隊での薬物取り締まりの作業に入っている。検閲に引っかかった容疑者たちは、人民武力省裁判局が東海地区の裁判所に送り、公開裁判を受けた」と説明。

続けて、「最近、公開裁判にかけられたのは、軍幹部から軍関連企業に所属する民間人まで数十人に及ぶ。民間人は、軍部隊の看板を借りて貿易などの外貨稼ぎに従事する商売人たちだ」と語っている。

北朝鮮における薬物乱用は、社会の各階層に渡っている。かつては国ぐるみで生産し、日本などに密輸していていたのだが、それを止めて以降、当局から流出した技術と物資が国内で拡散し、薬物汚染が深刻化してしまったのだ。

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情報筋はまた、「公開裁判で明らかになった犯罪の中身は、薬物を専門とする運び屋となったり、軍の外部から薬物を仕入れて乱用したりといったものだった。当局は、特に罪状の重い者たちに対しては死刑を含む厳罰が予告した」と伝えた。

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これには補足説明が必要だろう。RFAは2018年12月、咸鏡南道(ハムギョンナムド)の咸興(ハムン)に本部を置く第7軍団の軍官(将校)が、列車内で覚せい剤を持っているところを発見され、摘発・処罰されたと報じた。しかし、これは氷山の一角に過ぎない。

兵士、中でも軍官は民間人とは異なり、列車内で荷物検査を受けることはほとんどない。商人はそこに目をつけ、軍官を抱き込んで、かなりの額の報酬と引き換えに運び屋をやらせているという。

そしてその背景には、軍官の生活苦がある。

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軍官はかつて、北朝鮮の代表的なエリートだった。しかし最近では、小遣い銭にしかならない給料しか受け取れなくなっている。それは工場、企業所、機関に勤める民間人とて同じだが、軍人と決定的に違うのは商売をすることで収入が得られるという点だ。

軍人は商売が禁止されている。ただし、家族はその対象外なので収入を得るために商売をしているが、軍人の勤務地は人里離れた山奥である場合が多い。村の市場に行って商売したところで人口が少ないため、大した収入にはならないのだ。

そんな窮状を知る商人は、軍官に運び屋の仕事を持ちかける。軍官も生活苦から抜け出せるとの思いで、誘惑に負けてしまうというのだ。ちなみに第7軍団が駐屯する咸興は、覚せい剤の産地として知られている。

これでは、いくら極刑で脅して取り締まっても、軍官の窮状をどうにかしない限り根本的な解決にはならないだろう。RFAは今回の報道で、北朝鮮の軍当局が「正直になれば罪を軽くする」として、自主を促していることも伝えている。だが、たとえそれで効果が上がったとしても、それは一過性で終わるような気がする。