「禁断の書」を持っていた北朝鮮女性、密告され処刑

今では「革命の首都」と呼ばれる北朝鮮の首都・平壌。かつては「東洋のエルサレム」と言われていた。朝鮮半島におけるキリスト教の中心地で、クリスチャンも多かったからだが、朝鮮戦争前後にその多くが現在の韓国に移住した。

そのような歴史的経緯もあり、韓国のキリスト教(プロテスタント)の中には、北朝鮮における布教を重要視する人々がいる。そして、その活動の実態が明るみに出た事例もある。

例を挙げると、中国・丹東でレストランを営んでいた韓国人のキム・ジョンウクさんは、2013年10月に北朝鮮に違法に入国した容疑で逮捕され、翌年5月の裁判で無期労働教化刑(無期懲役)が言い渡された。国営の朝鮮中央通信は次のように報じている。

裁判では朝鮮民主主義人民共和国刑法第60条(国家転覆陰謀罪)、第64条(スパイ罪)、第62条(反国家宣伝扇動罪)、第221条(非法国境出入罪)に該当する被訴者(被告)キム・ジョンウクの事件記録を検討し、犯罪事実を確定した起訴状が提出され事実審理(罪状認否)が行われた。

審理過程で被訴者は海外で朝鮮の最高尊厳を悪辣に誹謗し反共和国宗教行為を敢行し、わが公民を南朝鮮に誘引して共和国に対する偵探行為を行う中で地下教会を立ち上げ、わが方の内部実態資料を収集する目的のもとに非法的に国境を越えて平壌に潜入しようとしていた自らの罪過を認めた。

韓国の聯合ニュースによると、キムさんはバプテスト教会の牧師で、教会から派遣されて丹東で製麺工場を営む傍ら、脱北者のためのシェルターを数カ所、運営していた。

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ソウルのプロテスタント系の複数の人物と会い、地下教会の信者に会うために北朝鮮に入る計画を打ち明けたところ、全員から引き止められたが、中国で出会って伝道した平壌の高位幹部の保護を受けられるとして、聞く耳を持たなかったという。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の番組に出演した元北朝鮮キリスト教総連合会の会長のイム・チャンホ牧師は、2012年から2014年にかけて保衛部が地下教会に対する大々的な弾圧を行ったとの見方を示しており、キムさんの逮捕と関連がある可能性がある。

北朝鮮での裁判では犯罪事実の証拠として、聖書などキリスト教関連の資料が示されている。持っているだけでも重罪に問われるものなのだ。

(参考記事:韓国人宣教師、昨年10月から北朝鮮で抑留中

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咸鏡南道(ハムギョンナムド)の新浦(シンポ)では、聖書を持っていただけの女性が処刑される事件が起きている。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた事件の概要は次のようなものだ。

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40代女性のシンさんは、両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)などを行き来して商売をしていた今年1月、聖書に接した。お守りとして聖書が密かに売られているとの報道もあるが、彼女がいかにして聖書を手に入れたのかはわからない。

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彼女は聖書を、荷物に隠して自宅に持ち帰った。新型コロナウイルスによる不況で暇になったシンさんは、聖書のことを思い出し、取り出して読んでは見たものの、何のことだか全く理解できず、ダンボール箱に入れて倉庫にしまっておいた。

今年3月、シンさんはいきなり保衛部(秘密警察)の家宅捜索を受け、逮捕された。密告があったのだ。

逮捕の数日前、友人はシンさん宅を訪れた。金の無心にやって来たのだったが、断られてしまった。シンさんが、金の代わりにワカメを持たせようと倉庫に入ったところ、友人はダンボール箱の中にある聖書を発見して、保衛部に密告した。

シンさんは取り調べで、新浦(シンポ)造船所など重要施設周辺の地形に関する資料を外国に送ったことを認めた。そして、敵国の書籍である聖書を国内に拡散させ、党に対する国民の信頼を貶め、社会主義を脅かす反党、反国家行為を行ったのみならず、スパイ行為まで行った容疑で、非公開で処刑された。

(参考記事:北朝鮮の秘密警察に「ハンマーで処刑」された女性経営者の罪状

事件のことを耳にした市民の間では、保衛部のやり方に疑問の声が上がっている。

シンさんが聖書を読んだことは事実だが、スパイ行為については信じられないとのだ。また、聖書を読んだくらいで処刑するのはひどすぎる、密告した女性が新浦居住というだけで、潜水艦基地の周辺の地図を渡したとするのは濡れ衣だろうという反応を示している。さらには「スパイ行為をすればこういうことになるとの見せしめのためにやったのではないか」との見方も示された。

密告した女性に対する非難の声もある。北朝鮮の人々は、密告者を見つけると徹底的に排除しようとする。放置しておけば、自分が密告されるかもしれないという恐怖心からだ。この女性が新浦で生活を営んでいくのは、もはや困難かもしれない。

(参考記事:従姉妹を売った北朝鮮「エリート候補」を待ち構える運命