「死ぬなら故郷で」…北朝鮮「中国で陽性判定」の女性を銃殺か

北朝鮮は今年7月24日、「悪性ウイルスに感染されたと疑われる越南逃走者(元脱北者)が3年ぶりに不法に分界線を越えて去る7月19日、帰郷する非常事件が発生した」として、開城市を完全封鎖する措置を取った。

(参考記事:「開城市で悪性ウイルス感染者」新型コロナ、北朝鮮で初

新型コロナウイルス対策として国境を封鎖、警備を強化していた最中の事件を受け、警備がさらに強化されたが、密入国する人が後を絶たない。元脱北者の再入国を受け、一部地域が完全封鎖された北部の両江道(リャンガンド)では、またもや同様の事件が起きたと、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

事件が起きたのは先月20日の夜。35歳と27歳の女性2人が三池淵市の胞胎里(ポテリ)を流れる鴨緑江を渡り密入国しようとした。異常な動きを察知した国境警備隊員3人が、河原の草むらをかき分け、身を潜めていた2人を発見、逮捕した。

2人の身柄は市の保衛部(秘密警察)に引き渡された。供述によると、二人は普段から連絡を取り合う仲で、北朝鮮に帰る決心をして、家から逃げ出した。情報筋は触れていないが、人身売買の被害者だったと思われる。

(参考記事:「性暴力の末に非業の死も」北朝鮮女性の人身売買はこうして行われる

鴨緑江の河原に2日間身を隠しつつ、国境警備隊の勤務パターンを把握、午後10時50分から11時20分の間には警備兵がいないことを確認した上で、川を渡ったという。

実はこの話、27歳の女性だけの陳述で、35歳の女性は何も語っていない。黙秘しているのではない。高熱により昏睡状態に陥り、取り調べができないのだ。

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35歳の女性は、中国で新型コロナウイルスの陽性の診断を受けたとされる。治療薬もワクチンも存在しないことを知った彼女は、どうせ異国にいても死ぬのだから、両親の顔を見てから死のうと思い、同じ村にいた27歳の脱北者の女性を誘って北朝鮮に戻ろうとしたとのことだ。

保衛部や防疫指揮部の幹部の家族が誰かに喋ったのだろう。現地では「三池淵にも恵山にもウイルスが入ってきた!」との噂が急速に広まってしまった。当局は、噂を広げないよう厳しい取り締まりで対応する羽目になっているが、おそらく効果はないだろう。

町の人々の間では、35歳の女性の処遇について関心が集まっている。非法越境(不法入国)罪を犯し、ウイルスで人民の生命を危機に陥れた上に、治療方法がないために、銃殺にするしかないだろう、というものだ。恐怖で国民を支配してきた体制により、公開処刑などを見せつけられてきた人々ならではの反応と言えるかもしれない。

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また実際、北朝鮮は新型コロナ対策の防疫ルール違反には軍法を適用しているとされており、すでに違反者が死刑になった事例が複数、伝えられている。

一方で27歳の女性に対する処罰は、検査結果次第になるだろうと見られている。

情報筋はこのような見方を示している。

「7月に開城(ケソン)に戻った越南逃走者(脱北者)も、伝染病事態をもたらした罪が加重され処刑された可能性もあったが、元帥様(金正恩党委員長)も把握されているので、殺さずに教養者(教育人材)として使う可能性があるだろう」

つまり、各地で開かれる政治講演会など、脱北防止のプロパガンダ活動に動員されるということだ。一方で、情報筋は処刑される可能性についても言及している。

「8月末に三池淵に相次いでやって来た非法越境者のことも元帥様はご存知だが、開城の非法越境者のように労働新聞や朝鮮中央テレビで報道されていないので、今後の処罰については見当がつかない」

ここで言われているのは、平安南道(ピョンアンナムド)の粛川(スクチョン)出身の人身売買の被害女性が先月24日、中朝国境を流れる鴨緑江を渡って北朝鮮に戻ろうとしたところを逮捕された事件のことだ。これにより、三池淵と恵山が先月27日午後12時から完全封鎖状態に入っているが、女性2人の密入国も原因になった可能性がある。

(参考記事:開城に続き北朝鮮両江道の一部もコロナ対策で完全封鎖

金正恩氏が防疫体制強化を強調しているのに、それをあざ笑うかのように相次いで起きた脱北者の密入国事件。当局は、国境警備隊、保衛部、安全部(警察)だけではなく、職場に配属されていない大卒者まで警備に総動員している。