「呆れてものも言えない」金正恩“涙の演説”に庶民は冷淡

北朝鮮の金正恩党委員長は10日、朝鮮労働党創建75周年を記念して行われた閲兵式(軍事パレード)で演説。国民に向け「ありがとう」と感謝の言葉を繰り返すと同時に、生活苦が解消できていないことに対して、「ただの一度も満足に応えることができず、本当に面目ありません」と謝罪した。また、演説中に涙ぐむような場面もあった。

この軍事パレードと演説について、韓国デイリーNKは平壌市民と、国境地域に住む市民の北朝鮮国民2人にインタビューし、北朝鮮国内の反応を探った。その内容の一部を紹介する。

平壌市民は、最新兵器を並べた軍事パレードに「プライドを感じた」とし、金正恩氏に対する忠誠心と信頼感を新たにした一方で、地方の住民は一連の行事に概ね無関心で、新型コロナウイルスの余波による生活苦に無策な政府に批判的な姿勢を示した。

両者の違いの背景に、生活格差があることは言うまでもない。すべてにおいて優遇されている平壌と比べ、地方住民は経済制裁・新型コロナウイルス対策・自然災害の三重苦で息も絶え絶えだ。そして国全体の世論はどうかと言えば、一部のエリートが集まる平壌より、地方の声の方が標準に近いと見ることができるだろう。

以下、インタビューからの抜粋。

―金正恩氏は国民に感謝と謝罪の意を示して涙ぐんだが、それについての反応は?

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平壌市民「党幹部たちは、元帥様(金正恩氏)を奉じる忠誠の心を人民の心に刻み込んだ、人民が党を信じて従うようになる確実なきっかけとなったと評価している。どの家でも、元帥様が泣かれた場面を見て皆が感動して泣いた」

地方住民「言葉にして論評する人はいないが、ニタニタ笑うことで反応を示している。感謝と謝罪で涙を流すのなら、庶民が暮らしやすい世の中を作ってくれれば良いのにということだ。テレビに映し出されたのは、彼(金正恩氏)以外は、皆げっそりと痩せて血の気がなくシワだらけの顔の人ばかりで、呆れてものも言えないという雰囲気だった」

ここで地方住民が「言葉にできない」と言っているのは、金正恩氏を批判したことが当局に知れれば、政治犯として極刑の対象にもなりかねないためだ。

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―閲兵式で新型ICBMなど様々な戦略兵器を公開した

平壌市民「元帥様のお言葉を信じる雰囲気だ。あんな現代的な軍事装備や軍服を初めて見た、われわれが苦しい思いをしているのは自衛的国防力強化のためだから、辛くとも元帥様の領導に従っていくべきだと皆が言っている」

地方住民「変なミサイルがいっぱい出たと囁いているが、ほとんどの人はどれほどすごい威力を持っているのか全然わからず、正直言って興味すらない」

―住民は今回の党創建日の行事について全般的にどう評価している?

平壌市民「歴史的な場面で、わが国も世界的な地位に堂々と登りつめ、地球の中心に確固たる立場を築いているとプライドを感じている」

地方住民「私の地元の人々は、党創建の記念日だろうが何だろうが興味がない。さらに平壌で開かれる行事には関心など持たない。当局が伝染病を言い訳にして国境を完全封鎖し、密輸も完全に遮断したので、本当に死にそうで、あちこちからうめき声が上がっている。それなのに、平壌で派手にミサイルの自慢なんかして騒ぎ立てているのを見ると呆れてしまう」