「もはや自滅を待つのみ」金正恩氏が危険視する文在寅政権の今後

北朝鮮の対韓国宣伝サイトである「ウリミンジョクキリ(わが民族同士)」は2日、韓国が米軍の「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の追加配備を目論んでいるとして、「好戦的な妄動は自滅だけを招く」と警告する論評を掲載した。

同サイトは24日にも、韓国の文在寅大統領が日本の菅義偉首相の就任を祝う書簡を送ったことは、「民心をないがしろにする反逆であり売国である」と非難する論評を掲載した。

北朝鮮は6月、脱北者団体による対北宣伝ビラの散布と、それを許した韓国政府に反発して開城(ケソン)工業団地内の南北共同連絡事務所を爆破した。しかしそれ以降、韓国に対する非難は小康状態にあった。

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特に10月、北朝鮮が海上で韓国人男性を射殺した事件では、韓国政府に対し朝鮮労働党統一戦線部が通知文を送付。その中で金正恩党委員長が「文在寅大統領と南の同胞たちに大きな失望感を与え、非常に申し訳なく思う」と表明したことが明らかにされた。

金正恩氏のこうした態度は、文在寅政権との関係修復を図るためというよりは、韓国社会の対北世論を極端に悪化させないためのものであると筆者は見ている。韓国社会の一部では、日本や米国に反発するナショナリズムが高まっており、その中には北朝鮮を「解放後に親日派を排除して国づくりをした」として、民族国家としての正統性を認める向きもある。

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北朝鮮は、そのような人々を自国の主張に引き寄せることで、文在寅政権に韓国社会の内部から圧力をかけようと狙っているフシがあるのだ。

今回のTHAADに関する論評は、米大統領選後の米韓同盟の動きを見据えたけん制ではないかと思う。トランプ大統領が落選するようなことになれば、金正恩氏の対米外交はいちからやり直しになりかねない。文在寅氏に良い顔をしなかったトランプ氏からバイデン氏に政権が移り、米韓同盟の再強化が図られたら厄介だ。

そんなとき、自国からの「民族自主」の呼びかけに呼応する世論を韓国社会に形成しておくのは、北朝鮮にとって大事なことだろう。

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北朝鮮によるこの種のメッセージの発信は、今後、より頻繁になるかもしれない。