北朝鮮で特殊部隊と国境警備隊の衝突続く…「発砲」寸前の事態に

各地でロックダウン(都市、地域封鎖)が相次いでいる北朝鮮。デイリーNKなどが把握したケースは以下の通りだ。

7月24〜8月14日 開城(ケソン)
8月27日〜9月14、17日 両江道(リャンガンド)の三池淵(サムジヨン)、恵山(ヘサン)、慈江道(チャガンド)
10月26日 慈江道の満浦(マンポ)

(参考記事:北朝鮮国境都市、コロナ感染のおそれで2度目の封鎖令

いずれも新型コロナウイルスの感染が疑われる者が地域に入ったという理由からだが、それ以外の理由での封鎖も行われている。例えば、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の国境地域では、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士が上官を撃ち殺し、中国に逃亡を図ったことで、今月27日から封鎖が行われている。

(参考記事:「特殊部隊のいじめ殺人」発生で北朝鮮が厳戒態勢

一方、両江道の恵山には再び封鎖令が下され、地元に混乱が広がっている。

両江道のデイリーNK内部情報筋によると、今月1日深夜、恵山市城後洞(ソンフドン)に駐屯する国境警備隊25旅団251連隊4大隊3中隊の責任保衛指導員(秘密警察)と兵士の2人が、中国の密輸業者から麻袋2袋を受け取った。袋の中身については伝えられていない。

それが、中央により派遣された国境警備を行っていた暴風軍団の兵士に見られてしまった。2人は、武装した状態で国境を越え、中国に逃亡した。当局は、新型コロナウイルスの国内流入遮断のために「密輸は軍法で裁け」との指示を下していることから、逮捕された場合に死罪を免れないと思い、その場の判断で脱北したものと思われる。

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問題はこれだけにとどまらない。暴風軍団の兵士は2人を向かって発砲しようとしたたが、警備隊の中隊長と政治指導員らが止めされたというのだ。

国境警備は国境警備隊の専管事項のはずだが、地元とのしがらみで任務が徹底されない状況を考慮したのか、中央は「よそ者」である暴風軍団を派遣した。両者の間では乱闘騒ぎなど、様々なトラブルが起きていた。

(参考記事:北朝鮮の特殊部隊と国境警備隊が大乱闘、死傷者多数

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中隊長と政治指導員は現場で逮捕され、取り調べを受けている。詳細は不明だが、2人もこの密輸に関与していた可能性が考えられる。生かせて逃がすことで、自分たちが不利にならないようにしたこともが考えられる。

当局は今年8月、国境地帯に近づく者に対しては無条件で銃撃せよとの指示を下している。暴風軍団はこれに基づいて銃撃を行っており、人間であれ野生動物であれ構わず撃ちまくる乱暴さが、現地住民の反感を買っている。

(参考記事:「人間も動物も無条件で銃撃する」北朝鮮警察、コロナ対策で警告

事件を受けて、朝鮮労働党中央委員会は2日深夜に非常拡大会議を開き、恵山市に対して完全封鎖令を発し、警備は暴風軍団に任せることを決定した。当局は2日午前9時に「午前10時までに食糧を購入せよ」との指示を下した。今後、20日間外出が禁止されるため、その分の食べ物を買い込めということだ。

市民が市場に殺到し、コメ1キロの価格が通常の倍を超える1万北朝鮮ウォン(約120円)まで急騰するなど、大混乱となった。市民は生き残るために泣く泣く高値で食糧を買い込んでいる。

ただでさえ経済難で苦しい思いをしているところに降って湧いた今回の外出禁止令。市民は「罪は国境警備隊が犯したのに、なぜわれわれがその被害を受けなければならないのか」と悲鳴を上げている。

恵山では今年5月、コロナ対策の名目で市場が一斉に閉鎖されたが、抗議活動が起きて当局は閉鎖令の撤回に追い込まれた。

(参考記事:コロナ対策の市場閉鎖に北朝鮮国民が猛反発「権力機関も恐れない」

しかし、今回警備を担当しているのは、地元に縁故のない暴風軍団だ。下手に抗議など行えば、容赦なく射撃されることも考えられる。食糧を確保できなかった人々は、座して死を待つしかないだろう。

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