北朝鮮で浮上した「コロナ患者でっち上げ」疑惑

北朝鮮の北部で、また「コロナ騒ぎ」が起きている。高熱の症状を見せ、隔離される人が続出しているというのだが、どういうわけか「でっち上げ」ではないかとの疑惑が浮上している。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、匿名を要求した両江道(リャンガンド)の幹部の話として、道庁所在地の恵山(ヘサン)市で、今月2月から11日までの間に、40人のコロナ感染疑い患者が発生したと報じた。

いずれも高熱の症状を見せ、市当局により、市内中心部の恵明旅館(ホテル)で20日間の隔離措置を受けている。ただ、隔離された当人たちも、何の病気なのかわからないまま、ホテルに閉じ込められているという。

「今回隔離された住民は、誰一人として科学的、医学的な新型コロナウイルスの検査を受けられていない」(幹部)

地域担当の医師が患者の自宅で往診し、体温を測り、熱が高ければ隔離措置を行うというのが当局の対策だ。別の恵山市民はRFAの取材に対し、医師が毎日家々を訪問しているが、持参するのは体温計だけで、8度以上の熱があれば医学的所見などは関係なく、隔離命令を下していると証言した。

一方で幹部は、今回の隔離措置に別の意図が隠されている可能性についても言及している。現在隔離されている対象の居住地が、市内の各洞(町)ごとに1〜2人ずつまんべんなく分布しているというのだ。

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「今月初め、恵山市が全面封鎖されたことで、生活が脅かされた恵山市民の不満が高まりを見せ、その払拭のために一部市民がコロナ感染者であるかのように仕立て上げ、市民にコロナ恐怖症を植え付けたのではないか」(幹部)

(参考記事:北朝鮮、フェイクニュースで国内世論を誘導

恵山では、今年8月以降で2回の封鎖令が発せられている。

1回目は8月27日から9月14日。脱北していた女性が、中国から北朝鮮に密再入国し、うち1人が中国でコロナ陽性判定を受けていたことを受けてのものだ。

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また、国境警備隊の責任保衛指導員(秘密警察)と兵士の2人が、密輸の発覚を恐れ、武装したままで川を渡り脱北する事件が起きたことを受け、今月2日からは20日間の外出が禁止された。外出禁止期間中の食糧確保に与えられた時間はわずか1時間で、市内は大混乱に陥った。今年初めからのコロナ対策による不況も相まって、市民の不満が渦巻いている。

(参考記事:北朝鮮「封鎖都市」で混乱…コメ価格が急騰、渦巻く不満

前述の幹部は、恵山市民から「コロナ遮断のために国境地帯の全地域を完全封鎖し、住民はコロナで死ぬのではなく、飢えて死ぬ」などと言った強い不満の声が上がっているが、当局の失策ではなくコロナのせいだと、コロナに責任をなすりつけるためのものだと説明した。

別の市民は、隔離されるのは高熱の症状を見せた本人だけで、家族に対しては隔離も何も行われないとし、一連のやり方は平壌からの指示によるもので、これからどれだけの人が隔離されるかわからないと不安をのぞかせた。

WHO平壌所長のエドウィン・サルバドール氏は、北朝鮮保健省の統計として、先月29の時点で北朝鮮国内でコロナ検査を受けた人は1万2072人で全員が陰性、隔離中の人は897人で、先月22日からの1週間で新たに隔離された人は174人と明らかにしている。また、今までの隔離対象者の累積は3万1800人に及んでいるとした。

一方で、デイリーNKの内部情報筋は、今月1日の時点で、全国で隔離された人の数が累計で8万1000人に達したと伝えている。軍関係者を除いた数字で、実際の隔離者数はこれよりはるかに多いものと思われる。

(参考記事:北朝鮮、8万人以上をコロナ隔離も国内発生は認めず