容疑者を追い詰める北朝鮮警察「犯人より悪どい」捜査手法

米国務省が毎年発表している、世界各国の人身売買に関する報告書。国ごとの状況を4段階で評価している。アジアで最も評価の高いティア1に分類されたのは韓国、台湾、フィリピンだ。日本はタイ、インドネシアなどと並んでティア2。北朝鮮は最悪のティア3となっている。

北朝鮮に関して挙げられた項目は、8万人から12万人に達する管理所(強制収容所)の収容者に対する強制労働を含めた虐待、本人の意に反する職場配置や勤労動員、海外派遣労働者への虐待、搾取など多岐にわたるが、その一つに女性の人身売買に関する項目がある。

人身売買ブローカーは、中国から北朝鮮へと広がるネットワークを使って北朝鮮の女性を中国に売り飛ばす。彼女らは身体的虐待、性的搾取に晒され、売春やオンラインセックスなど性産業への従事を強いられる。また、ブローカーは彼女らに中国男性との結婚を強いる。
(報告書より抜粋)

(参考記事:「性暴力の末に非業の死も」北朝鮮女性の人身売買はこうして行われる

北朝鮮も全く手をこまねいているわけではない。人身売買事犯の摘発を行ってはいるのだが、そのやり方がまた、決して褒められたものではないのだ。詳細を咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えている。

昨年、30人もの女性を人身売買した容疑で、保衛部(秘密警察)に逮捕される寸前に逃亡を図った会寧(フェリョン)在住の女性が、遠く離れた首都・平壌郊外の平城(ピョンソン)で先月逮捕された。

夫と死別し、ひとりで双子の息子を育てていたこの女性は、生活のために人身売買に手を染めた。そして追手が迫るや、息子を置いて逃亡した。保衛部は女性を指名手配し、家族や親戚の家など、女性が立ち寄りそうな場所を捜索、息子を人質として勾留した。

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女性は平城に住む弟宅に身を潜め、持ち金で商売して暮らしていたが、先月初めに路上で安全員(警察官)に呼び止められた。物流の一大拠点である平城には、全国から商人が集まるため、市民は相手が話す言葉を聞けば出身がわかるほどだとされる。安全員も、女性が咸鏡北道の一般的な方言ではなく、国境地域の方言(六鎮方言)を使っているのを聞き、怪しいと思って呼び止めたのだった。

ちょっとした違反行為なら、ワイロを掴ませればもみ消すことも充分可能だが、双子の息子が地元の保衛部に勾留されていることを知っていた女性は、息子に危害が加えられることを恐れて、その場で自らの犯罪を自白した。

保衛部は、女性の人身売買、他のブローカーとのつながりなどを証言を得るために、息子に殴打するなど拷問を加えていた。二人は、食事ができないほど精神に異常をきたしていた。

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保衛部は女性が見つからないことから、中国に逃げ込んだものと見ていたが、息子を人質として勾留して置けばいつか戻ってくるだろうと踏んでいた。その読みがあたり、保衛部は効果があったと分析しているとのことだ。

女性の逮捕により、他のブローカーや手助けしていた国境警備隊の隊員など、逮捕者が続出するものと見られ、市内はそわそわした空気に包まれているという。

こうした「人権侵害をもって人権侵害を制す」やり方は、北朝鮮でいかに人権が軽んじられているかを如実に示す事例と言えよう。

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