「死ねば山で焼かれ遺骨は放置」北朝鮮 “輸出品” 生産現場の秘密
そのうちのひとつ、平安南道(ピョンアンナムド)北倉(プクチャン)にある18号管理所で、収監者の強制労働により採掘された石炭が国連安全保障理事会の制裁に違反して中国に輸出されていると、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。
労働現場では、事故や虐待で死者が続出しているという。
(参考記事:若い女性を「ニオイ拷問」で死なせる北朝鮮刑務所の実態)
収監者には、悔悛の状況に応じて1日の石炭採掘のノルマが課せられる。達成できなければ「元帥様(金正恩総書記)の対外的権威を毀損する二重犯罪」「悔悛精神が薄弱」などと責め立てられるという。採掘量は不明だが、管理所の傘下には2つの炭鉱があり、相当な量に達すると情報筋は見ている。
管理所の炭鉱で採掘された石炭のうち良質なものは、船籍国の旗を掲揚せず船名を鉄板で隠した船に積まれて中国に密輸されている。
米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)は、同様の手法で制裁対象となっているレアアースのモリブデンを中国に密輸し、肥料や営農資材を積んで北朝鮮船舶の存在について報じている。
(参考記事:制裁違反物資を積んだ正体不明船、肥料満載して北朝鮮へ)一方、輸出されない残りの石炭は内需用に回され、うち4割が火力発電所に、5割は党の資金の確保のために使われる。残りの1割は、管理所で使用する地下足袋、管理書職員の家族への配給、収監者に与えるトウモロコシの不足分の補完に使われる。
また、まともな衣類も与えられず、炭鉱での労働で真っ黒になった衣服を洗う水も、3人に対してたらい1杯しか与えられない。川に行ってきちんと洗濯ができるのは、国家的な名節(お祝いの日)や、管理者の気分次第だ。
作業のやり方は坑道の天井を支える坑木がないところまで這って進み、石炭を掘り出し、背負って運び出すというもので、当然のことながら事故が多発している。まともな安全装備も与えられず、すべての作業が人力で行われる。先月には、崩落事故が起きて、28人が生き埋めになる事故が起きている。
このような事故、病気、栄養失調で亡くなる人が多く、死にそうになった人が運び込まれる病室に入れば、2〜3日後には遺体となって運び出される。夏には10体ずつ、秋には数十体を一度に山で火葬し、遺骨は放置される。情報筋の証言では今年の第1四半期だけで200人が亡くなり、遺体は焼却された。
(参考記事:焼け残った遺体を犬が…北朝鮮刑務所の生き地獄)また、管理者の暴力で亡くなる人もいる。首を靴で踏みつけられたり、銃床で殴りつけられたりして亡くなった事例が16件起きたが、報告書には「事故死」と記されるだけだという。金正恩体制は文字通り、