「金正恩に統一なんか無理」北朝鮮女性のブチ切れ発言が波紋

韓国の公共放送KBSは昨年8月、韓国国民1000人を対象に、南北統一に関する世論調査を行った。統一の必要性を問う質問に対し、「大きな負担さえなければ統一するのが良い」が44.2%で最も多く、次いで「相当期間現在の共存状態を維持すべきだ」が24.3%、「統一されないほうが良い」が16.2%で、「必ず統一されなければならない」は15.4%で最も少なかった。

統一に肯定的な人は2018年の66.0%から2020年には59.6%まで減少。年代別で見ると、最も多い50代では64.7%であるのに対し、最も少ない20代では54.7%だ。また、統一の費用負担が懸念されると答えた人は50.8%、許容できる費用負担は「年収の1〜5%未満」が29.3%、「年収の1%未満」が26.5%となった。

「是が非でも統一しなければならない」という教育が消え、統一に対して現実的な見方をしている人が多い韓国に対して、北朝鮮では世論調査はないものの、おそらく多くの人が統一を渇望しているものと思われる。それが転じて、苦しい生活から抜け出したいがあまり、戦争への期待を口にする人さえいる。
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さて、北朝鮮で南北に統一に異を唱えればどうなるのか。

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、そんな発言をした恵山(ヘサン)在住のチェさん(20代女性)一家の身に起きたことを伝えた。

恵山と三水(サムス)を結ぶバス路線の車掌をしていたチェさん。彼女の乗務していたバスに、国境警備のために派遣されている朝鮮人民軍の暴風軍団(第11軍団)の兵士3人が乗り込んできた。各地で厄介事を起こし鼻つまみ者となっている彼らだが、案の定、運賃を巡ってトラブルが起きた。
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「カネはないが乗せてくれ」という彼ら。「乗せられない」と乗車を拒否したチェさん。ケタケタと笑いながら「祖国が統一すれば運賃を払う」と言った3人に、チェさんは怒りにまかせてこう返したという。

「首領様(金日成主席)、将軍様(金正日総書記)の時代にも統一できなかったのに、元帥様(金正恩総書記)の時代にできるのか」

3人は、乗せてもらえなかった腹いせからか、上官を通じて、彼女の言動を両江道保衛局(秘密警察)に通報した。それから数日後、チェさん一家は忽然と姿を消した。保衛局は一家を逮捕し、簡単な取り調べを済ませ、すぐに管理所(政治犯収容所)送りにしたという。
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単に統一に否定的な発言だけだったなら、思想闘争(吊し上げ)や短期間の労働鍛錬刑(懲役刑)で済まされたかもしれないが、彼女にとって命取りとなってしまったのは、最高指導者の名前を否定的な文脈で出してしまったことだ。

「最近、(当局は)若者たちの(韓流などの)外部の文物の流入(と接触)に敏感になり、思想攻勢を強化している。チェさんが公共の場所で最高尊厳(最高指導者)を批判したという点で、看過できないと考えたようだ」(情報筋)

チェさん一家は管理所の中でも、釈放が許される革命化区域に入れられたのか、一生釈放が許されない完全統制区域に入れられたのかは不明だ。そのいずれであっても、暴行、拷問、恣意的な処刑が横行するところだけあって、生きて出られるかどうかは不明だ。
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