金正恩が習近平に教えを乞う「闇のテクノロジー」

実力行使と「抑圧テクノロジー」を駆使して、国民の不満を抑え込んでいる中国。台湾の『天下雑誌』は2018年、中国の公安部(警察庁)が発表した数字として、2005年の1年間に、前年より16%も増えた8万7000件もの抗議活動、労働争議などが起きていたと伝えている。

現在の発生件数は未公表だが、抗議活動、社会活動が活発だった胡錦濤政権時代と比べ、減少しているものと思われる。

為政者の立場からすると、世論を「アンダーコントロール」に置いている現在の中国。その手口を学ぼうと、北朝鮮が乗り出した。

デイリーNKの北朝鮮国内の高位情報筋は、北朝鮮の社会安全省(警察庁)の幹部が、中国公安部の行政、組織など実務体系に関する教育を受けている。

当初は、中国に行って研修を受ける予定だったが、昨年1月にコロナ対策で国境が封鎖されたことで出国ができなくなり、中国駐在の北朝鮮大使館、外務省の協力の下で取り寄せた翻訳資料を使い、オンラインで教育を受けている。

その内容はまず、刑事司法体系だ。治安維持、違法行為者の取り締まり、犯罪捜査、逮捕、拘禁、裁判などで、学んだ内容を実際に適用するという。

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故・金正日総書記は1998年、黄海北道(黄海北道)の黄海製鉄所で起きた抗議活動に対して戦車部隊を投入、1200人を虐殺したと伝えられているが、今もしそんなことを行えば、衛星写真や国内の情報網を通じてすぐに国外に伝わり、ただでさえ悪い北朝鮮の国際社会での立場をさらに悪くすることは確実。より「クレバー」な方法が求められているのだ。
(参考記事:抗議する労働者を戦車で轢殺…北朝鮮「黄海製鉄所の虐殺」

次いで災害対応戦略についても学んだ。台風、梅雨、火災などの災害発生時における人命救助の方法を学んでいる。北朝鮮は災害インフラが極めて立ち遅れおり、近年頻発する大規模自然災害に対応できていない。また、火災発生時にも消防車が出動しないなど、初歩的な災害対応すらできていないのが実情だ。
(参考記事:北朝鮮のガス爆発事件、対応の遅れで地方トップが異例の謝罪

社会安全省は、最近創設されたヘリコプター部隊の公安、消防部署との連携業務プランについても中国から研修を受けることを望んでいるとのことだ。デイリーNKの取材によると、ヘリコプター部隊は今年3月に編成され、12機のヘリコプターが配属された。部隊編成の命令書にはその目的が、災害時の人民の生命保護、有事の際の不純分子の策動、デモ鎮圧、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)との合同作戦、戦時体制における革命首脳部(金正恩総書記)の護衛と記されている。

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不純分子の策動やデモの鎮圧といった内容が目を引くが、北朝鮮は、食糧難で国民の不満が高まる中で、社会安全省の役割を拡大しており、統制をより強化する目的があるものと思われる。今年1月にはデモ鎮圧を目的とした部隊を編成したことからも、「国民の怒りの爆発」に当局が相当神経を尖らせている現状が読み取れる。
(参考記事:北朝鮮、デモ鎮圧の専門部隊を新設…大隊規模・900人選抜

朝鮮労働党の内部事情に精通した情報筋は「最近法が変わり、実際に安全部(社会安全省)が人々を取り締まり統制する方法も変化しなければならないとの話が出た。中国公安との協力はこのような背景で行われたもの」と説明した。

韓流を含めた「風紀の乱れ」を厳しく取り締まる反動思想文化排撃法の制定で、国民の統制を強化する法体系を整え、処罰を強化しているが、法を執行する社会安全省の司法体系も改善されるべきとの指摘が出ているとのことだ。

今回の教育は今月15日まで行われ、その後は全国の安全部(警察署)の幹部に対する教育がオンラインで行われると、情報筋は説明した。

北朝鮮は最近になって、国境監視用に5Gネットワークの構築を行ったと伝えられている。運用組織が異なり今回の研修との関係は不明だが、中国のやり方を活用した方法という面で軌を一にしている。
(参考記事:北朝鮮、国境地帯に監視用5Gネットワークを構築か