金正恩「革命の聖地」だけに特別配給…周囲から強い不満

北朝鮮北部にある両江道(リャンガンド)の三池淵(サムジヨン)。三池淵には、民族の霊山である白頭山があり、さらには抗日パルチザン活動を行っていた金日成主席の本拠地で、金正日総書記の生家とされている「白頭山密営」もある。何重もの意味で、北朝鮮の「聖地」なのだ。

金正恩総書記はそんな地域の再開発事業を進め、何度も足を運び、一昨年12月に行われた竣工式にも参加するほど、並々ならぬ関心を見せた。
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そして全国的な食糧難が解消しない中、現地の一部住民に対してはコメの配給が行われたと、デイリーNK内部情報筋が伝えた。
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当局は、中央の幹部を三池淵に隣接するもう一つの聖地、大紅湍(テホンダン)に派遣し、地域の特産物であるジャガイモの配給事業に直接関与させた上で、「元帥様(金正恩氏)と(朝鮮労働)党の配慮」との名で、三池淵と大紅湍のジャガイモ加工工場に北朝鮮製の加工設備を提供させ、糧政事業所を通じて住民に「配慮米」を配給させた。

配給されたコメには独特の臭気があり、8回精米した「八分度米」20キロで、実際に食べた住民の話では、軍向けの軍糧米として長期間保存されていたものだろうということだ。ただ、収穫時期を迎えてもコメ価格が下がらず、食糧・経済状況が悪い中で配給されたもので、ほとんどの人はこれでもありがたいと思っているという。

中央の幹部は今回のコメ配給について「冬の到来が迫りつつある今、三池淵市と大紅湍郡の住民に生活の安定と越冬準備を党が直接行うように」という金正恩氏のマルスム(お言葉)に従って行われたものだと明らかにし、「党が特別に神経を使っているのだから、住民も国に配慮されて忠誠する姿勢で今後も仕事をがんばるべき」だとの宣伝も行われた。

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ただし、配給されたのは三池淵の住民と、隣接する大紅湍(テホンダン)の一部の住民――具体的には金正恩氏が現地指導で会ったことのある地域の除隊軍人120人に限られた。軍官(将校)として勤務した彼らは、本来なら社会的に優遇され、何一つ不自由なく暮らせるはずだった。しかし、おりからの経済難で待遇が悪くなり、不満の声が上がっていたのだ。今回の配給はその解消の一環とも考えられる。
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一方、配給の話を聞きつけた周辺地域の人々の間からは「三池淵、大紅湍の住民だけが人間か」「自分たちの口はジャガイモ専用か」と不満の声が上がっている。

彼らは、三池淵の再開発工事に動員されるばかりで、見返りが一切もらえていないことから「我々も三池淵市建設に集中し、税金の負担も甘んじて受け、労働力も捧げた」などと不満たらたらだ。
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