「もう我慢できない」性上納と不正に北朝鮮兵士の怒りが限界

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の報道によると、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の第9軍団で大隊級幹部の不正が一斉告発され、指揮官たちが厳罰の恐怖に震えているという。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋はRFAに対して伝えたところでは、第9軍団隷下の大隊級幹部(大隊長、政治指導員、保衛指導員)らの間で露骨になっていた不正行為に憤慨した軍人たちが、総政治局に対して信訴を行った。

信訴とは、民主的な選挙や公平な司法制度の存在しない北朝鮮において、国民や末端の兵士が権力者による不正行為を訴えるほぼ唯一の手段だが、妨害にあったり、内容が漏れたりして、加害者から逆襲されたり、もみ消されたりするリスクもある。

端的なのが、女性兵士に対する性的虐待だ。上官から暴行されて妊娠しても、加害者が処罰されることはほとんどなく、かえって女性兵士の方が生活除隊(不名誉除隊)させられることが多い。第9軍団でも、そうした現象がはびこってきた。
(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

しかし今回の信訴については、軍総政治局が重大問題として取り上げ、徹底的な調査を行っているという。

不正の内容は、同軍団の大隊幹部らが「兵士の日」を設定し、兵士の家族や駐屯地周辺の民間人から支援物資を募っておきながら、兵士には与えずに着服していたというものだ。

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被害者が多数に上ったことで、もみ消しが不可能だったと見られる。

また近年、北朝鮮軍内では、上官の不正に苦しむ兵士たちの不満が、マグマのようにたまっていると見られる。今年2月には、第3軍団と第8軍団の幹部に対しても検閲が行われたが、デイリーNKの内部情報筋はその際、「最近、軍官たちの眼下無人(傍若無人の意)な行いが日が経つにつれひどくなり、兵士たちの間に『我慢の限界だ』との空気が漂っている。不満が危険水域に達した」と説明した。

北朝鮮軍の上層部はこうした不正行為を、党と国の統制力を弱体化させる一因と見ているようだ。また、飢えた兵士たちの民間人に対する犯罪も深刻で、それを防止する観点もあるのだろう。

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ただ、いくら厳しい検閲が行われても、抜本的な改善につながる可能性は低い。そもそもの原因は将校たちの待遇の悪さにあるのに、それを正す経済力が国家に備わっていないからだ。