「金正恩の安全を脅かした」軍の首都警備司令部で大量処分

ワイロのやり取りが横行している。これが国境地帯であれば、担当者が処刑されるほどの重大問題だ。
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北朝鮮は世界のどの国でも見られない、国内移動が制限された国だ。

自分の住むところから、市や郡の境を越えて別の地域に移動するには、行政機関や勤め先、安全部(警察署)などの書類審査を経た上で発行される旅行証(国内用パスポート)が必要だ。

首都・平壌に行く手続きはさらに面倒で、平壌市人民委員会(市役所)から承認番号を受け取った上で、地元での手続きを済ませた上で、国家保衛省(秘密警察)が管轄する10号哨所(チェックポイント)に提示してようやく立ち入りが認められる。哨所では、書類を持っていないと思われる乗客がバスから下車させられる光景が見られる。

コロナ禍においては、承認番号の発行そのものがなされない場合が多かったのだが、入れないはずの平壌に忍び込む、関所破りが多発していることが実態調査で明らかになった。デイリーNKの北朝鮮軍内部の情報筋が伝えた。

最近行われた「非常防疫首都出入秩序管理詮衡」の総合評価で、今年第3四半期の3ヶ月間に110件もの違反事例があったことが判明し、防疫司令部での総和(総括)を経て、中央軍事委員会に報告された。

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つまり、把握できただけでも、無許可で平壌に出入りした事例が110件もあったということだ。情報筋は言及していないが、これは哨所においてワイロのやり取りが横行していることを示すものだろう。これが国境地帯であれば、担当者が処刑されるほどの重大問題だ。
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アフリカ豚熱が北朝鮮で流行し、平壌への出入りが統制された2019年にも、哨所と関連して似たような状況が起きていた。
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報告を受けた中央軍事委員会と中央非常防疫司令部は3日、平壌市への出入りを統制する朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の首都警備司令部所属の10号哨所と総参謀部作戦局所属の警務部(憲兵隊)哨所の人員を、10日全員入れ替える命令を下した。

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また、順和江(スンファガン)、万景台(マンギョンデ)、間里(カルリ)など実際に問題が発生した8ヶ所の哨所に関連する者に対して、一般区分隊に降格する処分も下された。

残りの哨所に関しても、人員の総入れ替えが行われる。彼らは処罰の対象となったわけではないが、政治的にダメージを受け、今後の高位幹部への登用の道が閉ざされてしまった。

北朝鮮が国内移動に統制を加え、平壌への出入りを厳しく制限したのは、金正恩総書記の身辺の安全と関わる問題だからだ。地方、中でも中国との国境に接した地域の人間を平壌に出入りさせると、新型コロナウイルスの感染が平壌でも広がり、最終的には金正恩氏をも感染させるリスクがあると見ているのだ。

「最高指導者(金正恩氏)の感染可能性を事前に遮断するために努力してきたが、下級幹部がこれを水の泡にしてしまったとみなされている」(情報筋)

金正恩氏が関わる問題だけあって、処理を一つ間違えるとクビが飛びかねない。それをおそれた中間幹部、高位幹部は、責任を現場の下級幹部、担当者になすりつけたとも言えよう。

だが、上述の通り、関所破りの問題はコロナ前から起きている。哨所の人員を総入れ替えしたところで、時間が経つにつれ、また同様の問題が発生するだろう。手にした権限を活用して、ワイロを得なければ生きていけないのが、今の北朝鮮だ。
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