「いい加減にしてくれ」金正恩印のお菓子作りが国民に大迷惑

北朝鮮の市場の物価は、他の国と同じように、需要と供給に基づいて形成される。農産品を例に挙げると、前年の収穫が底をつく春から夏にかけて上昇し、秋の収穫と共に下落する。

しかし、しばしば不自然な価格の上下が見られる。下落は、価格を抑えようと海外から輸入した物品が市場に放出された影響と思われる。一方、不自然な上昇はどのようにしてもたらされるのだろうか。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の情報筋が、その理由を説明した。

平安南道(ピョンアンナムド)の殷山(ウンサン)の情報筋によると、小麦粉1キロの価格は1万2000北朝鮮ウォン(約288円)から3万北朝鮮ウォン(約720円)に、砂糖は1万3000北朝鮮ウォン(約312円)から2万5000北朝鮮ウォン(約600円)に、いずれも高騰している。それは次のような原因によるものだ。

「このように急に市場で小麦粉と砂糖の価格が急騰した原因は、先週初め、中央が各地方に1月8日を迎えて、子ども用のお菓子の贈り物を地方政府に自主生産し、供給するよう指示を下したためだ」
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1月8日は、公式の祝日に指定されていないが、金正恩総書記の誕生日で、特別配給が行われる。物で国民の支持を繋ぎ止める「贈り物政治」が北朝鮮政治の基本であることから、その質や中身の良し悪しが世論に影響する。そのため当局もお菓子作りに必死になるのだ。実際、お菓子作りに失敗し、担当者が処罰された出来事もあった。最高指導者の権威を傷つける行為は、北朝鮮においては万死に値する罪なのだ。
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地方政府は、地域住民から1世帯あたり5000北朝鮮ウォン(約120円)を贈り物生産資金として徴収し、その資金で市場と国営商店で売られている小麦粉と砂糖を買い占めたのだ。いずれも輸入に頼っているもので、例年なら海外から物資が届けば価格は安定する。しかし、昨年1月からのコロナ鎖国で、輸入は限られており、地方政府による買い占めが価格の急騰を招いてしまったということだ。

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平安北道(ピョンアンブクト)の義州(ウィジュ)の情報筋によると、郡内の食品工場は、金正恩氏の生誕記念日に配給するお菓子セットの生産に入った。ここでも住民から5000北朝鮮ウォンが徴収され、市場で原料を購入して生産しており、小麦粉、砂糖の価格の高騰をもたらしている。

また、住民に対して1世帯あたり1個の鶏卵の供出を強要したため、鶏卵価格が1100北朝鮮ウォン(約26円)から1500北朝鮮ウォン(約36円)に上昇する結果をもたらした。

これに対して住民は、「お菓子セットを生産すると言って国民の懐からカネを奪い、民生経済に混乱をもたらしている。もういいかげんにしてほしい」と不満を示している。「元帥様(金正恩氏)のおかげ」として配られるお菓子セットは、結局のところ、庶民からなけなしのカネを奪って作ったものなのだ。
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