金正恩の「身の安全」が二束三文で揺らぐ北朝鮮の現実

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北朝鮮と中国を結ぶ貨物列車が今月16日、2年ぶりに再開された。多量の物資が北朝鮮に運び込まれたが、各地方への配送はまだ始まっていない。

いずれも、税関のある新義州(シニジュ)に隣接する義州(ウィジュ)飛行場に設置された国家西部物流総合処理場に運び込まれ、消毒された上で、隔離状態に置かれている。貨物の移動開始を前にして、首都・平壌への玄関口には、多数の人員が配属されていると、複数のデイリーNK内部情報筋が伝えている。
(参考記事:中国・丹東に北朝鮮の貨物列車…コロナ封鎖から2年ぶり

平安北道(ピョンアンブクト)定州(チョンジュ)にあるタルレガン哨所(チェックポイント)の人員を3倍に増やせとの指示が21日、中央非常防疫司令部から平安北道に下された。これに伴い、24日午前0時に人員が拡充されたとのことだ。

元々この哨所の敷地は広大で、保衛部(秘密警察)、警務隊(憲兵隊)、空車監督、衛生防疫の4つの哨所が1キロおきに配置されており、監督官が合わせて8人から10人いたが、情報筋によると25人に増やされた。また、防疫体制も強化され、4つの哨所すべてで衛生防疫作業を行うようになった。各哨所には試薬、器具、消耗品、消毒液、測定装置、消毒設備も設置された。

不審な通行者や荷物のチェックよりも、防疫に力点を置くようになったということだ。今回の防疫体制の強化で、哨所を通過するのに2〜3時間もかかるようになると思われる。

新義州から平壌を結ぶ道路、鉄道のちょうど中間地点に、厳重なチェックポイントを設置したのは、北朝鮮において何よりも優先される金正恩総書記の身の安全に関わるからだ。
(参考記事:金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない訳

金正恩氏がいる平壌はもちろんのこと、平壌に隣接する平安南道(ピョンアンナムド)にすらウイルスを侵入させないという強い意思が感じられる。

定州市内での防疫に関する宣伝が強化されており、情報筋によると、コロナ禍が始まった当初のように、宣伝カーが市内の通りで、国家非常防疫を強調し、取り締まりと統制をさらに強化する雰囲気づくりに一役買っている。これに対しては市民から、「人民に不便をかけないようにせよと言いながら、昨年よりさらに厳しい哨所を作ってどうするのか」と不満の声が上がっているとのことだ。

このようにガチガチに固めた平安北道と平安南道の境界線だが、あっさりと崩れてしまう可能性が指摘されている。原因はワイロだ。

「タルレガン哨所はわが国(北朝鮮)で(平壌の手前にある)順和江哨所の次に、強大な権限を持っている。今回の指示によりさらに旨味の増した権限を持って、係官たちは私腹を肥やすだろう」(情報筋)

取り締まりや許認可などに関わるあらゆる権限がカネに化けるのが、現在の北朝鮮だ。係官はしばらくおとなしくているだろうが、時が経つにつれ「荷物を通したいならワイロを払え」と言い出すに違いないと情報筋は見ているようだ。また逆に、バックに大物幹部が付いているトンジュ(金主、新興富裕層)が、大枚をはたいて、フリーパスで通してもらうという事例も発生するかもしれない。
(参考記事:北朝鮮、警察官に「ワイロは受け取らない」誓約書を出させる

またそうでもしなければ、薄給の係官らは食べていけない現実もある。何を置いても守るべき最高指導者の安全対策が、わずかなワイロで揺らぐとは、まさに「貧すれば鈍する」というほかない現実だ。

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