米国、文在寅氏の任期切れまで「韓国パッシング」の現実

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北朝鮮が先月30日、中距離弾道ミサイル(IRBM)である「火星12」を発射した。金正恩総書記が示唆した核実験停止と大陸間弾道ミサイル停止のモラトリアム破棄が、現実のものとして迫ってきた形だ。

これを受け、南北融和を目指す立場から北朝鮮への刺激を避けてきた韓国の文在寅大統領も、「朝鮮半島の非核化と朝鮮半島の平和安定、外交的解決に向けた国際社会の努力に対する挑戦であり、国連安全保障理事会の決議に違反する行為」であるとして、危機感を表さざるを得なくなった。

だが、この期に及んでどんな意見を表明しようと、文在寅氏の任期切れを前にして、同氏が進めてきた朝鮮半島平和プロセスは出発点に戻るしかなくなった。5年間の取り組みが水泡に帰すのだ。そうなった責任はもちろん文在寅氏自身にあるが、原因は別のところにある。ひとつは金正恩氏の核への執着であり、もうひとつは米バイデン政権の無関心だ。

米国といえども、世界のあらゆる問題に、常に全力で向き合うことはできない。優先順位は、時の情勢によって変化する。今はウクライナ問題や台湾問題の方が、北朝鮮より順位が上なのだ。

とはいえ、米国の関心がなければ、北朝鮮の非核化も南北対話も進まない。文在寅氏の最大のミスは、米国の関心を引き付けて置くのに失敗したことだろう。というよりもむしろ、文在寅政権の在り方そのものが、米国の関心を遠ざけてしまったと言えるかもしれない。

先月26日、バイデン大統領が新任の駐韓大使に、職業外交官で駐コロンビア大使のフィリップ・ゴールドバーグ氏を指名したことがわかった。ゴールドバーグ氏は国務省の対朝制裁調整官出身であり、文在寅政権にとっては「微妙な」経歴の人物と言えるかもしれない。

だが、文在寅氏がゴールドバーグ氏の対北朝鮮観を心配する必要はなさそうだ。上院の承認手続きにかかる時間などを考慮すると、ゴールドバーグ氏が現地に赴任するのは、3月に予定されている韓国の大統領選挙以降になると思われるからだ。

そもそも駐韓米国大使は昨年1月、バイデン大統領の就任と同時にハリー・ハリス前大使が辞任して以降、1年以上空席のままだった。駐中大使には国務次官を務めたニコラス・バンズ氏、駐日大使にはバイデン氏の側近であるラーム・エマニュエル前シカゴ市長が早々と指名されたことから、駐韓大使の空席は「韓国パッシング」ではないかとの疑念まで出ていた。

文在寅氏が最後まで朝鮮戦争の終戦宣言にこだわる中、バイデン政権が、金正恩氏の最も嫌う人権問題で対北制裁を打つなどしたことを考えると、韓国政府としては「突き放されている」と感じられたのかもしれない。
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もっとも米国からすれば、韓国を「パッシング」していたわけではなく、単にスタンスの違いの大きさから、何を調整するにも苦心していただけではないのか。しかし、文在寅氏の任期切れ間際まで駐韓大使が赴任できないというのは、結果的には「パッシング」と見られても仕方のないことだろう。

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