戦争が起きたら処刑しろ…金正恩「殺すリスト」に記された人々

ロシア軍は、ウクライナへの侵攻と占領に備えて「殺害リスト」を作成していたと、複数の米国メディアが報じている。リストには、ゼレンスキー大統領らウクライナ政権幹部のほか、ジャーナリストや反腐敗活動家、宗教的・民族的マイノリティ、LGBTQの人々の名が記されているという。

実は、北朝鮮も同様のリストを有しているとされる。「18号対象者」がそれに当たる。国内で「反体制勢力」「階級の敵」となり得るとみなされた人々で、戦争勃発の前日に保衛部(秘密警察)が処刑することになっている。戦争遂行への良からぬ影響を、あらかじめ最大限除去するというものだ。

北朝鮮当局は最近、この「18号対象者」に対する監視を強化する指示を下したと、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。
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このような指示が下されたのは、今月3日のことだ。中央から咸鏡北道(ハムギョンブクト)保衛局に下され、それが道内の各市郡の保衛部にも伝達された。それに基づき、会寧(フェリョン)、茂山(ムサン)、穏城(オンソン)などの保衛部は、脱北を試みる疑いのある者を18号対象者リストに含めた上で、動向調査に乗り出した。

また、清津(チョンジン)市保衛部は、漁船の船員の身分照会を8親等にまで広げると同時に、会寧、茂山などの国境に接した地域への移動承認の手続きを4月末まで取りやめることにした。

ちなみに、デイリーNKが昨年入手した北朝鮮の内部資料「準戦時保衛事業細則」には次のように書かれている。

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準戦時状態が宣布されれば「18号対象者」たちの居場所と、昼夜監視対策を徹底的に立てて、有事の際に緊急処理するための人的、物的準備をもれなく行い、「時」が来たと言って蠢動(策動)する者どもを「18号対象」として、残さず掌握し、戦時法に基づき処理するための準備作業を行う。

つまり、監視体制の強化が行われたということは、準戦時体制に備えるということを意味する。国内外の情勢の変化に危機感を覚えた当局が、上述の細則より一歩踏み込んで、具体的な動きを見せたものと思われる。

これについて情報筋は「住民が動揺しうると見て、緊張感を作り出す意図があるように見える」と説明した。

今回の指示が下されたという話が住民の間に広がり、脱北者の家族や、土台(身分)のよくない人々は意気消沈している。情報筋は、「まだ準戦時状態ではないというのに、住民を監視して移動を統制せよという指示を下したのは、露骨な住民弾圧ではないか」と当局のやり方を批判した。
(参考記事:【徹底解説】北朝鮮の身分制度「出身成分」「社会成分」「階層」

北朝鮮が、戦争犯罪に問われるこのような民間人虐殺を計画しているのは、過去の記憶が影響しているのだろう。

朝鮮戦争の際、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)は占領地で人民裁判を開き、地主や公務員など「階級の敵」とされた人々を次々に殺害したが、親韓国派による抵抗運動が行われ、大規模な報復殺戮が起きた。北朝鮮が、米軍による蛮行と主張している信川(シンチョン)虐殺も、このような過程で起きたものだという見方が韓国では一般的だ。

韓国とて同じで、左翼の転向者などを集めた国民保導連盟に所属していた人々を、朝鮮戦争勃発直後に虐殺した保導連盟事件を起こしている。その犠牲者は10万人とも120万人も言われている。
(参考記事:顔も知らない先祖のせいで収容所送りにされた北朝鮮のある一族

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