超エリート女子大生も被害…北朝鮮「鬼畜行為」で陸の孤島へ

北朝鮮で立場を利用したセクシャル・ハラスメント、性暴力が多発していることは、デイリーNKジャパンでも繰り返し報じてきたが、それは社会のあらゆる領域に及んでいる。今回、取り上げるのは最高学府「金日成総合大学」における性暴力事件だ。

デイリーNKの内部情報筋によると、事件が起きたのは金日成総合大学の外国語文学部中国語文学科だ。50代のキム講座長(学科長)は昨年11月末。教え子のチェさんに対して課外学習(個人指導)の過程で、こんな甘い言葉をかけて性的関係を迫ったという。

「大学にいる間の成績は心配しなくてよい、卒業後の配置(就職)問題も面倒を見てやる」

このように立場を利用し強要行為は、ほかの大学でも起きている。また一昨年には、首都・平壌の総合レジャー施設で組織的な売春を行っていたグループが摘発され、一味に平壌音楽舞踊大学や平壌演劇映画大学の教授らが加担していたことがわかった。事件に巻き込まれた学生は数十人とも200人とも言われる。

この事件では、金正恩総書記の直接の命令により、首謀者たちが公開処刑されている。

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チェさんは悩んだ末に、信訴(告発)することにし、大学内の朝鮮労働党委員会がキム講座長に対する検閲(監査)を行った。すると、個人指導の名目で遅くまで学生を残して、身体の特定箇所を触るなどセクシャル・ハラスメントを繰り返し、性的関係を持つこともあったことが判明した。

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検閲の内容は中央に報告され、キム講座長に対して撤職(更迭)と革命化の処分が下された。これに伴い「陸の孤島」とも言える黄海道(ファンヘド)の奥地に追放されたとのことだ。

北朝鮮は中国との関係を「血で固めた友誼」と重要視し、物資の多くを中国から輸入、多数の観光客を受け入れるなど北朝鮮における中国語の重要度は極めて高い。中国語学科を出ると、「食べる卵の多い」(儲かる)職場に就職できるチャンスが高まるため、教授の影響力は非常に強い。そのような構造が性暴力を生み出したのだ。

情報筋によると、一連の事件の被害者のほとんどが、学校を辞めて逃げ帰るところもなければ、すぐに被害を訴えられる家族も平壌にいない地方出身で、キム講座長はその点を知りつつ性暴力を加えていたのだ。

被害者がむしろ不利な立場に立たされたり、処罰を受けたりするケースもしばしばあることを考えると、今回は正しい裁きが行われた形だ。

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中国語学科は平穏を取り戻したものの、それがいつまで続くかはわからない。金日成総合大学の講座長と言えば高位幹部であり、いつ呼び戻されるかわからないからだ。また、チェさんが今後キャンパスライフを送れるかどうかもわからない。北朝鮮には、性暴力の被害者に対し、その「落ち度」を責める見方が少なからず存在するからだ。

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