「米国と対決」強がる金正恩…国内では餓死者発生も対策すらなく

北朝鮮は24日、金正恩総書記の立ち会いの下、新型大陸間弾道ミサイル「火星砲ー17」(火星17)の発射実験を実施。金正恩氏は実験が成功したとして、「わが国家防衛力はいかなる軍事的威嚇・恐喝にもびくともしない強大な軍事技術力を整え、米帝国主義との長期的対決を徹底して準備していく」と強調したが、北朝鮮の本当の内情は、米国との対決など想像すらできない悲惨なものだ。

北朝鮮では今、食べ物が完全に底をついた「絶糧世帯」が急速に増えているとされる。一部地域では、半数を超えたとの情報さえ伝わっている。

例年なら、「絶糧世帯」の発生は春先から始まり、麦の収穫が始まる初夏には解消するが、国際社会の経済制裁、コロナ鎖国によりここ数年、絶糧世帯が現れる時期が早まり、数も増えているようだ。中には、苦しさのあまり自ら命を絶つ人もいる。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、道内の会寧(フェリョン)市の中心地で今月6日と7日、2つの家庭で相次ぎ餓死者が発生したと伝えた。

一家族は食べるものが底をついて餓死。もう一家族は食べるものが底をついて数日経ち、絶望のあまり、着火炭(石炭の粉や灰におがくず、泥を混ぜて作ったもの)に火を付けて、自ら命を絶ったとのことだ。

中国と国境を接する会寧は、国境を超えて入ってくる密輸品のおかげで、全国的に大量の餓死者を出した1990年代後半の「苦難の行軍」のときも比較的犠牲が少なかったとされるが、昨今のコロナ鎖国で密輸が完全にブロックされたことで、食糧不足に陥っている。

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事案の報告を受けた市党(朝鮮労働党会寧市委員会)は、上部組織の道党(朝鮮労働党咸鏡北道委員会)に報告する前日の8日、具体的な状況と住民生活の実態調査を行うために、邑事務所(町役場)に人民委員会(市役所)、保衛部(秘密警察)、安全部(警察署)、検察所の責任イルクン(トップ)を集めて緊急拡大会議を行った。

市党は、洞事務所(末端の行政機関)、機関、企業所のイルクンに対して、「飢えて出勤できない者がいないか、家々を訪ね歩いて確認する報告体系を立ち上げたのに、死ぬまでなぜ放置したのか」とイルクンたちを追及した。

市党は春を迎え、市民の食糧不足にあらかじめ備えよと強調していたにもかかわらず、なぜこんなひどいことが起きたのか問いただし、イルクンが住民生活をケアする事業を怠っていたからこんなことが起きたと叱責した。

食べるものがなくなって外出すらままならない市民がいたのに、彼らに背を向けて思想問題だけを取り上げていたからこんなことが起きたのではないか、市民を死に追いやった無責任なイルクンたちだとも批判した。

さらには、幹部が飢えて出勤できないということは起こらないのに、なぜ庶民にだけこんなことが起きるのかとも追及した。

市党は、生きられたはずの市民を栄養失調で死なせたり、食べるものがなく絶望して自殺に追いやったりすれば、市民の間に社会主義を裏切る気持ちを芽生えさせてしまうとして、今回のような悲惨な死を傍観してはならないと強調した。

度重なる叱責の後は、いかにして飢えている市民に対する総合的な対策を立てるかについて議論が行われたが、結局、具体的な案は出なかったという。対策が立てられないのは他の地域でも同様だ。地方政府だけでは解決できず、国からの支援が必須だが、国は食糧問題の解決を各地方に丸投げするという無責任体制だ。

これについて情報筋は、市民の3割以上が食糧問題を抱えており、積極的な対策が必要だが、当局は人民班長(町内会長)やイルクンを締め付けて、わずか数キログラムの食糧を配給させるその場限りの対策しかできておらず、こんな有様で市民をどうやったら救えるのかと不満の声が上がっていると伝えた。

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