北朝鮮の「セレブ姉妹」を破滅させた“権力者”の隠微な企み

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北朝鮮の通貨、ウォンには2種類のレートがある。公式レートでは、1ドル(約143円)が100北朝鮮ウォン程度に設定されている。このレートを用いる人は、外国人観光客などを除けばほとんどいない。

実際に使われているのは市場レートで、1ドルは8000北朝鮮ウォン程度。コロナ前と同程度だが、コロナ鎖国下で北朝鮮ウォン高となり、一時は4000北朝鮮ウォン台となっていたが、今年に入ってから北朝鮮ウォン安となっている。

このレートの動きと関連があるかは不明だが、首都・平壌郊外の商業都市、平城(ピョンソン)で長年、大物闇両替商として君臨してきた女性2人が逮捕されたと、平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

逮捕されたのは、40代のキムさん姉妹だ。2人は、2011年ごろから、路上でタバコを売る商売を始めたが、その後、卸売業者へと成長した。

平壌タバコ工場に10トントラックで乗り付け、タバコを満載して平城に戻り、業者に卸していたが、代金として受け取った外貨を市場で売り、利ザヤを手にしていた。

国家保衛省(秘密警察)は、こうした姉妹の行為が平城の外為市場に混乱を生じさせたと見て、逮捕に踏み切ったというのが、情報筋の説明だ。
(参考記事:激しい拷問に耐え続けた北朝鮮「レザーの女王」の壮絶な姿

当局は、外為市場の混乱の原因として、トンジュ(金主、新興富裕層)や大物の闇両替商が、巨額の外貨を動かしていることにあると見て、取り締まりを強化している。

だが、トンジュや闇両替商らはこうした問題に見舞われると、巨額のワイロでもみ消すのが常だった。キムさん姉妹も同じようにしており、82連合指揮部(反社会主義・非社会主義取り締まり組織)や防疫機関に複数回にわたり摘発されるも、ワイロで乗り切ってきた。
(参考記事:ワイロ要求のネタに転落した金正恩の「反社会主義」取り締まり

しかしある住民が、平城市保衛部、平安南道保衛局の上部機関である国家保衛省に直接通報したことで、今回の逮捕に至った。

この住民がどのような人物であるかはわかっておらず、情報筋は「カネがあると派手に振る舞っていたのを見かねた人々から通報が相次いで逮捕に至ったと思われる」と説明した。

ただ、一般庶民が国家保衛省に直接通報するとは考えにくい。そもそもアクセスが難しい上に、政治力のある富裕層を通報したことがバレると、恨みを買って逆襲されるリスクもあるからだ。それを考えると、姉妹は一定以上の地位にいる権力者の恨みを買っていた可能性などが考えられる。

そもそも逮捕容疑が何なのかを含めて、詳しい情報は明らかになっていないため、続報が待たれる。
(参考記事:金正恩が処刑…平壌医大「性的虐待」鬼畜グループと、ある母親の戦い

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