金正恩「自慢のタワマン」をさっさと売り飛ばす平壌市民

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北朝鮮の首都・平壌の郊外にある松新(ソンシン)・松花(ソンファ)地区と言えば、無計画に伸びた裏道に、木造住宅が立ち並ぶ立ち遅れた地域だった。それが、国内最高の300メートルの80階建てタワマンなど、160棟の中高層マンションが立ち並ぶ巨大ニュータウンへと大変貌を遂げた。

北朝鮮は目に見える業績としてハコモノ建設に力を入れる傾向が強いが、金正恩総書記は政権に就いて以来、倉田(チャンジョン)通り、未来科学者通り、黎明(リョミョン)通りなど、次から次へとタワマンを建て続けている。

そんな中で沸き立っていたのは、トンジュ(金主)と呼ばれるニューリッチだ。不動産開発は、儲け話の少ない北朝鮮で、巨額の富の得るビッグチャンスだからだ。
(参考記事:「手足が散乱」の修羅場で金正恩氏が驚きの行動…北朝鮮「マンション崩壊」事故

しかし、当局はそんな彼らに冷水を浴びせかけた。
(参考記事:新たな「金正恩住宅」の建設に沸く北朝鮮のニューリッチ

デイリーNK内部情報筋によると、寺洞(サドン)区域の人民委員会(区役所)と安全部(警察署)は、平壌市人民委員会(市役所)と安全局の指示を受け、先月24日から今月4日まで、松新・松花地区の1万戸の住宅に対する居住実態の調査を行った。

その理由は、次のようなものだ。

「元帥様(金正恩氏)の革命領導10年となる今年の年末に、国が住民に配慮した『贈り物マンション』について、その象徴である松新・松花地区の居住者実態を綿密に把握し、違法的要素を退治することが元帥様の権威と関連する重大な事案だ」

北朝鮮で「贈り物」と言えば、最高指導者から国民に下賜されるものを指す。粗末に扱うことは許されない。贈り物のお菓子がまずいからと、小学校の児童が投げ合っていたずらをしたことが、政治的事件に発展するようなお国柄だ。それとは比べ物にならないほど大きな贈り物のマンションを使って金儲けをするとは言語道断というわけだ。
(参考記事:金正恩氏が配ったお菓子セット、不味すぎて政治事件に発展

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調査の結果、住居全体の13%で最初の入居者と現在の入居者が異なり、8%が許可を得ていない者が同居していることが判明した。前者は受け取った人が売却したケース、後者は間貸しをしたケースだ。

報告を受け取った平壌市は、「入居が始まって1年しか経っていない住宅でこのような調査結果が出たことは、10年後には非社会主義的な住宅取り引き行為がはびこると見る根拠となる」として、年末の総和(総括)前に、徹底的に取り締まることを要請した。

売買されたケースに関しては、平壌市安全局が捜査を行い、国家所有の不動産の取り引きを禁じた刑法146条に基づいて処罰する方針だ。最高刑は、3年以下の労働教化刑(懲役刑)だ。

また、許可を受けていない間貸しに関しては、家主と店子に批判書を書かせて、規定通りに許可を得る手続きを踏むように指導しているとのことだ。

そもそも、贈り物のマンションを入居早々に売却すれば問題になることは、北朝鮮の人々とてわかっている。そのため数年経つまではそのまま住むものだったが、「選ばれし者」だけが住むことを許される平壌ですら、贈り物のマンションをすぐに売り飛ばさねばならないほど経済的に困窮している人の多いことがうかがえる。

市当局は今回の調査について「国の贈り物のマンションに対する首都市民の非社会主義的な古臭い思想観点と態度を正す契機になる」と判断。朝鮮労働党第8回大会で示された「平壌市5万世帯住宅建設構想」に従い、これから毎年新しい入宅への入居が行われるため、いずれもそれから3年間、違法行為が行われないかを調査するとしている。

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