「金正恩政権の終末」を待ち焦がれる北朝鮮の若者たち

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バイデン米大統領は4月26日、韓国の尹錫悦大統領と首脳会談を行い、核による拡大抑止をうたうワシントン宣言を発表した後の記者会見で、「北朝鮮が米国やその同盟国、パートナーに核攻撃を行うことは受け入れられず、そのような行動を取った場合、いかなる政権でも『政権の終末』を招くだろう」と述べた。

これに対して、北朝鮮は猛反発。金正恩総書記の妹・金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長は、国営の朝鮮中央通信を通じて、激しい表現を使って非難した。以下、一部を抜粋する。

必ず計算せざるを得ないし、座視できないもう一つの事実は、敵国の統帥権者が全世界が見守る中で「政権の終焉(しゅうえん)」という表現を公然と直接使ったことである。

これを老いぼれのぼけと見るべきか。

米国の安全と将来に対しては全く責任感がなく、自分に残っている任期2年だけを満たそうとしても負担が大きい、未来のない老いぼれの妄言であるとも言える。

しかし、最も敵対的な米国という敵国の大統領が直接使った表現という事実、これはわれわれが容易に見逃せないあまりにも途方もない後の暴風を覚悟すべき修辞学的威嚇である。

(参考記事:「北東アジアの安全をいっそう危険にさらす」金与正氏、米韓ワシントン宣言を非難

北朝鮮国民、中でも若者はこのワシントン宣言に大きな関心を見せている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋は、新義州(シニジュ)市民の間でワシントン宣言に対する関心が広がっていると伝えた。国営メディアが何度もこの用語を使ったことに加え、金与正氏が激しく非難したことで、関心を持つ人が増えた。

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中でも注目されているのは、「北朝鮮が核を使えば政権の終末を招く」という部分だ。それに金与正氏が「老いぼれのぼけ」「老いぼれの妄言」と返したことで、逆に注目が集まった。

平安南道(ピョンアンナムド)の情報筋は、平城(ピョンソン)の若者の間で、この件が話題になっており、若い知識人や大学生は腹を割って話せる仲間どうしで、米韓が「政権の終末」と言及したことに「スッキリする」との反応を示したと伝えた。

もちろん、そんなことを公言することはできない。秘密警察に知られたら、政治犯として極刑に処させれるのは明らかだからだ。それでも、若者以外の多くの市民が、婉曲にでも「よく言ってくれた」という反応を見せているとのことだ。
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2020年1月、新型コロナウイルスの国内流入を防ぐために、国境を封鎖し、貿易を停止させたことで、北朝鮮国内は深刻な物資と食糧の不足に陥った。

大消費地の平壌を背後に控え、全国各地から物が集まり、比較的豊かだった平城でも飢餓が広がり、「毎朝目を覚ませばどうやって飯を食おうかと心配でため息をつく」(情報筋)状況が続いている。また、金正恩政権は、政権初期とは異なり、ここ数年で市場に対する統制を強化しており、以前ほどは自由な商売ができなくなってしまった。
(参考記事:北朝鮮に「尋常ならざる空気」飢餓に苦しみ始めた都市住民

終わりの見えないモノ不足、政権の失策に対する恨み、厭世的な空気の広がったところに投下された「政権の終末」というパワーワードが、人々の共感を得ているのだろう。このような破滅願望は、北朝鮮で以前から見られたもので、決して珍しいものではない。
(参考記事:「いっそ戦争でも起きれば」北朝鮮国内で不気味な世論が台頭

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