金正恩が根絶に血道を挙げる「さらに危険なウイルス」

北朝鮮は、今年1月から新型コロナウイルスの国内流入を防ぐために、外国人観光客の受け入れ中止、国境封鎖、貿易の一時中断、徹底した消毒作業や国民に対する衛生教育など、徹底した対策を取っている。

多くの人が隔離されていることもあり、国内で感染者が発生したとの情報が漏れ伝わってはいるが、北朝鮮政府は今のところ、公式には認めていない。そんな中でも「もう一つのウイルス」を根絶するための作業も並行して行われている。

北朝鮮は、韓流など海外の文化コンテンツを「わが人民、特に新世代を精神的・道徳的に腐敗、堕落させるための思想的・文化的浸透策動」(労働新聞3月29日)とみなし、放置すれば体制を蝕み崩壊させるものとして、拷問や処刑などの手段まで駆使しながら、20年以上に渡って取り締まりを行っている。

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人体の健康を侵すウイルスはワクチンで治療可能だが、人々の思想の変化を元に戻す特効薬はない。そういった意味で、韓流は北朝鮮にとって、新型コロナウイルスよりも危険な思想的ウイルスと言えるかもしれない。

今月1日、北東部の咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)で、韓流密売グループが摘発されたと、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えているが、その規模の大きさは、韓流の浸透度を示すものと言えよう。

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韓流取り締まり班の109グルパは、昨年から市内の水南(スナム)市場、輸城(スソン)市場で「違法に録画された資本主義映像」、つまり韓流ドラマ、映画のソフトが大量に流通しているという情報を得た。商人に偽装したスパイを送り込み、韓流ファイルを取引しつつ、グループに接近し、半年に渡る内偵で証拠固めを行った。

グルパは今月1日、市内の首謀者の家に踏み込み、韓流ドラマや映画のファイルをCDやUSMメモリに保存し、数千本を売り払っていた現場を押さえ、容疑者5人を逮捕した。うち1人は、北朝鮮の理系の最高学府、金策(キムチェク)工業大学の卒業生だった。

摘発はこれで終わらなかった。彼らが卸した韓流のソフトを扱っていた商人は相当数にのぼった。具体的な数について情報筋は言及していないが、グルパだけでは人員が足りず、清津市人民委員会(市役所)の商業局の職員までが摘発に動員されたことを考えると、非常に大人数であったと思われる。

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北朝鮮の市場には、売台(ワゴン)を使用する商人から市場使用料という名の事実上の税金を徴収し、違法なものが売られていないかを管理、監督する市場管理所という組織が存在する。グルパは、彼らの怠慢も問題視し、責任追及を行う方針だ。

市場管理所の職員ともなれば、市場管理費に加え、自転車保管料をネコババすることで月数百ドルの収入が得られる。また、商売のノウハウまで学べる仕事として大変人気で、コネとワイロなしでは入れないと言われている。

事件のとばっちりは、映像を見た人にまで及んでいる。購入者には幹部やトンジュ(金主、新興富裕層)の子どもたちが多いが、もし処分において手心が加えられるようなことがあれば、庶民から「不公平だ」との声が高まることは避けられないだろう。

首謀者や市場管理所の職員、商人にいかなる処分が下されるかはまだ決まっていないようだが、情報筋は次のように見ている。

「伝染病(新型コロナウイルス)が全人民がで防疫事業に立ち上がった中、反共和国(北朝鮮)不順録画物を流通させた者に対しては、厳しい裁きを下すという立場であることから、公開銃殺されるだろう」

防疫体制の徹底も、韓流の根絶も金正恩氏の指示だ。それに背いたとあっては、軽い罪で済まされることはないだろう。