文在寅氏も目をそらせない、金正恩式「公開処刑」の実態

韓国政府系の研究機関である統一研究院は11日、「北朝鮮人権白書2020」を公開。白書によると北朝鮮で恣意的かつ頻繁な死刑執行が続いており、こうした実態は国際人権規約(自由権規約)に抵触するという。

白書は、脱北して韓国入りしてから日の浅い脱北者118人を対象にした面接調査と、北朝鮮の公式文書、北朝鮮が国連人権機関に提出した報告書などを基にまとめられた。昨年に行われた調査のため、証言の多くは2018年以前の事象に関するものだ。

白書の内容と北朝鮮国内の最新情勢にはいくらかの隔たりがあるかもしれないが、公開処刑をはじめとする金正恩体制の人権弾圧の実態については、何度も本稿で記事を配信している。今回発表された白書でも事例がまとめられているが、金正恩体制下では韓流コンテンツを見た、もしくは拡散しただけで公開処刑される恐れがある。

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南北関係には積極的だが、北朝鮮の人権問題に対しては消極的と見られている文在寅政権が、北朝鮮の残忍な人権侵害を直視したことは「前進」であると捉えたい。

実は、「北朝鮮人権白書」をめぐっては昨年、ある事件が起きた。毎年発表されている同白書だが、2019年版は公開が遅れたのだ。いったんは統一研究院のウェブサイトにアップされたものの、すぐに削除され、かなり時間が経ってから改めて公開されたのだ。同研究院は「校正中」と説明したが、文在寅政権が人権問題で非難されることを何より嫌う金正恩党委員長に「忖度」したことは明らかだった。

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これに先立ち、米国務省は昨年3月に発表した人権報告書において、「韓国政府が北朝鮮との対話に出たことで、脱北者団体は北朝鮮に対する非難を控えるよう直接的・間接的な圧力を政府から受けている」と指摘。米国政府が北朝鮮の人権問題を巡り、韓国政府を非難していた。

こうした事情もあってか、文在寅政権は2020年版白書については淡々と発表に踏み切ったのかもしれない。今回の白書には「過去に比べて公開処刑の頻度が減っており、公開処刑の現場に住民が動員されるケースも減っているものと把握された」「刑事事件の処理過程で自白を強要するための拷問および非人道的処遇があったとする具体的な証言は得られなかった」などの指摘もある。こうした情報はデイリーNKなども入手しており、事実のいったんを示しているのは確かだが、北朝鮮の人権侵害が本質的な完全に向かっているわけでもない。

仮に公開処刑や拷問が減少していたとしても、なにも金正恩体制が「人権問題」に目覚めたわけではないのだ。

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北朝鮮の人権弾圧は核・ミサイル問題と同様、国際社会から長年にわたり非難されてきた。金正恩体制が国際社会から真に認められるためには、人権状況の改善は避けられず、そのために「減らすよう」指示することはあるだろう。しかし、金日成主席から金正恩氏へと続く金王朝は「公開処刑」や「拷問」などの恐怖統治を通じて体制を維持してきたのである。そもそも人権の概念すら希薄で、外部からのなんらかの圧力なしに、人権状況が大きく変化する可能性は少ない。

金正恩氏は人権問題で非難されることを何よりも気にしている。今回の白書に対しては、北朝鮮サイドから何らかの反発があるかもしれない。しかし、文在寅氏に民主国家である大韓民国の首班としての自負があるのなら、金正恩氏の人権弾圧に対しては「忖度」なしに、真っ向から正論をぶつけるべきだ。