女子高生ら20人が禁断の行為…北朝鮮「スポーツ合宿」の秘密

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同じ朝鮮語であっても、韓国で使われている言葉づかいの使用を厳しく禁止する北朝鮮の「平壌文化語保護法」が、最高人民会議(国会に相当)第14期第8回会議で採択されてから3カ月。

北朝鮮では新法が制定された直後、法律の内容を知らしめるために取り締まりを強化して、違反者を血祭りにあげて、恐怖を煽るというやり方がしばしば使われる。

今回取り締まりの対象となったのは、若者の「しりとりゲーム」だ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。
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両江道(リャンガンド)の情報筋によると、今月3日の午後、恵山(ヘサン)駅前広場で「公開暴露の集い」――つまりは「吊し上げ大会」が開かれた。その場に引き立てられてきたのは、20人の若いスポーツ選手たちだ。

道内の三池淵(サムジヨン)市では2月の1カ月間、道内の高級中学校に通う前途有望なスポーツ選手、市や郡の選手団などが一堂に会して、冬季訓練を行った。スケートで優秀な成績を残した高級中学校の卒業生は、両江道体育団の選手として指名され、入団が秒読み段階だった。

そこで問題が起きた。辛い訓練の合間に開かれた娯楽会(お楽しみ会)で、しりとりをして楽しんでいたのだが、そこで「傀儡語」の単語が飛び出してしまった。ちなみに、娯楽会の場でどのような韓国風の言葉が使われたのか、情報筋は確認できないとしつつも、女性が男性の恋人を呼ぶ「オッパ」「チャギ」という言葉などを使ったのではないかと推測している。

別の情報筋によると、参加した女子生徒がその様子を携帯電話で動画撮影していたが、それが問題の発端となってしまった。

この女子生徒は、自宅に抜き打ちで踏み込んできた安全員(警察官)による所持品検査で、動画を見られてしまった。この件について中央からは「無慈悲な処分を下せ」との指示が下された。処分の対象になったのは20人。そのほとんどが権力のある幹部の家の子どもだったが、平壌文化語保護法の次の条文を社会に知らしめるにはもってこいの存在だった。

第6条(傀儡語を流布する者に対する法的処罰の原則)
国家は傀儡語を模倣したり、流布した者に対しては、傀儡語文化に汚染されたゴミ、犯罪者として認定し、彼が誰であれ、軽重を問わず極刑に至るまで厳しい法的制裁を加えるものとする。

幹部は自分や家族が問題を起こしてしまっても、大抵はカネとコネの力でもみ消す。実際、今回の案件は、末端の安全員からの報告が朝鮮労働党両江道委員会(道党)に上がったのだが、道党ではもみ消しを図った。ところが、そのことまで含めて、朝鮮労働党中央委員会(中央党)に報告されてしまったのだ。
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いつも自分たちだけ助かろうとする幹部は、庶民から相当の恨みを買っている。そのため中央党は、彼らへの処分なら、住民世論の悪化を招くことなく、平壌文化語保護法への恐怖感を高めることができると踏んだのだろう。

道安全局(地方警察本部)と検察所は、駅前広場に恵山市内の工場、企業所、団体の職員、学校の生徒などを動員した上で、公開暴露の集いを開き、娯楽会に参加した者、傀儡語が使われたことを知りながら通報しなかった者を含め、被告となった生徒20人に3年から5年の労働教化刑(懲役刑)の判決を下した。また、その親である幹部は撤職(更迭)され、恵山市内から40キロ離れた三水(サムス)郡の奥地の村に追放する処分が下された。

金持ちである幹部とそのドラ息子連中を血祭りにあげた今回の公開暴露だが、市民の反応は予想外に悪い。

「前途有望なスポーツ選手を言葉一つのせいで、教化所(刑務所)送りにするのはあまりにもひどい」
「娯楽会に参加しただけで、南朝鮮(韓国)の言葉を使っていない選手まで、通報しなかったという理由だけで処罰するなんて」

通報しなかったことだけでやりすぎとも言える処罰を下したことと、若者をターゲットにしたことへの反発が強いようだ。また、法律が非現実的だとの指摘もある。

「(朝鮮労働)党が韓国の言葉を『傀儡語』と呼んで強力に取り締まっても、親しい人同士集まること(韓流ドラマを見ること)を根絶できまい」(情報筋)
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