金正恩氏が「史上最悪」水害被災地に行けないワケ

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それでも、最高指導者が被災地を訪れないのは、やはり格好がつかない。当局は金正恩氏の視察の準備作業に入っているが、今度は準備作業が復旧作業に悪影響を及ぼしている。被災現場の瓦礫の下からは、洪水に流されて行方不明になっていた兵士の遺体が続々と発見されているが、軍の幹部は武器弾薬の回収に夢中で、遺体のことは眼中にない。

住民見殺し

金正恩氏が被災地を訪れないことや、当局の復旧を軽視する姿勢に、現地住民や兵士の間では反感が高まりつつある。彼らは「人の命より銃弾の方が大切というのか」「兵士の命は弾丸1発より安い」「戦争になれば我々は奴らの弾除けにさせられる」と、体制に対する不満を露骨に口にするようになっているという。

事故発生の原因からその後の対応の不手際によって、金正恩氏の権威は失墜する一方だ。もしかすると、正恩氏は住民からの「無言の反発」を恐れて、被災地を訪問しないのかもしれない。

(参考記事:「あんた達のせいで皆死んだ」住民見殺しで金正恩体制の権威失墜