“敵”より”自国経済”を壊滅させる、金正恩「幻の艦隊」の危うい船出

駆逐艦は建造して終わりではない。航行訓練、レーダー運用、発電、整備、港湾維持まで莫大な燃料と資材を消費する。しかも金正恩氏は、「崔賢」号と同級、またそれ以上の大型艦を十数隻も建造する方針を示している。本当にそれほど大量の艦艇を揃えられるかも怪しいが、それらには長距離巡航ミサイルなどを搭載するとしており、本格運用には継続的な洋上訓練が不可欠になる。

だが、そこに最大の難問がある。「燃料不足で農民が人力耕作している国が、近代的な外洋艦隊を維持できるのか」という問題だ。

実際、産油国である旧ソ連や中国ですら、経済力不足で大型艦隊維持に苦しんだ歴史がある。まして制裁下の北朝鮮にとって、水上艦隊は“最も贅沢な兵器”と言える。

(参考記事:「外観だけ直そう」駆逐艦事故の現場、金正恩に虚偽報告

自国経済との「消耗戦」

北朝鮮海軍は従来、小型潜水艦や高速艇など、低コストの沿岸戦力を重視してきた。しかし近年は、ロシアとの軍事接近を背景に、水上艦大型化へ明らかに舵を切っている。