政治犯収容所などでの拷問・性的暴行・公開処刑の恐怖
重大な政治犯罪に関わったことが判明した者は公判や司法による決定なしに、政治犯収容所(管理所)に「失踪」させられる。そこで監禁され、隔離される。死亡した場合でも家族にその安否が知らされることはない。過去には、連座制の原則に則り、近親者(祖先を含む三代まで)が犯した政治犯罪のために、当局によって家族全員が政治犯収容所に送られることが通常であった。現在もこのようなケースが起こってはいるが、過去に比べると減っているようである。
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政治犯収容所の収容者に対して行われた筆舌に尽くしがたい残虐な行為は、20 世紀に設立された全体主義国家の収容所の恐ろしさと類似している。北朝鮮の政治犯収容所では、計画的な飢餓、強制労働、処刑、拷問、性的暴行、並びに処罰、強制堕胎及び嬰児殺しによって執行される生殖に関する権利の否定を含む性的暴力通じて、収容者は徐々に排除される。調査委員会は、この 50 年間に数十万人の政治犯が政治犯収容所で死亡したと推定している
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北朝鮮当局は政治犯収容所は過去も現在も存在したことが無いと主張し、政治犯収容所が位置する地域への部外者のアクセスを否定しているが、元看守、収容者及び近隣住民の証言によって、この主張は虚偽であることが明らかとなった。衛星画像からも政治犯収容所制度が依然として運営されていることが証明されている。政治犯収容所及び収容者の数は死亡や一部釈放のため減っているが、現在も 4 カ所の大規模政治犯収容所及び初期の第5収容所の後身である拘置施設に 80,000~120,000 人の政治犯が現在も拘束されているとみられる。