【対北情報戦の内幕-17-】海保を「情報機関化」へ導いた北朝鮮との銃撃戦

連載・日本の対北朝鮮情報力を検証する/海上保安庁編(2)

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2012年6月13日付朝日新聞は、「中国、北朝鮮に軍用車両 昨年8月 安保理決議に違反」と題したスクープを掲載した。日本政府関係者の話として、中国がベトナム船舶を使い、北朝鮮の新型中距離弾道ミサイル「ムスダン」(当時は「新型ミサイル」と報道)を搭載する多装輪車両を輸出していたことがわかった、という内容だ。

このスクープは国際社会に大きな影響を与えた。中国外務省報道官は直ちにこれを否定したが、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議の履行状況を監視する専門家パネルは、報道を基に中国の国連決議違反を指摘した。

大型車両に搭載され、即時に移動・展開できるムスダンやノドンは、その動きを偵察衛星でも把握することが難しい。このような脅威度が高いミサイル・システムの重要な構成品が、実は中国から輸出されているという実態――珍しく、日本の対北朝鮮インテリジェンスが、国際社会に存在感を示した瞬間だった。

あるエリートの自殺

しかし、この報道は海上保安庁(海保)に、暗い影を落とす。