【動画】金正恩氏、スッポン工場で「処刑前」の現地指導

北朝鮮の朝鮮中央テレビは5日、金正恩氏が様々な部署を現地指導す記録映画を放映。5月19日付労働新聞でも報じられた「大同江スッポン養殖工場」を訪れた時の「激怒の現地指導」も放映された。

記録映画のナレーションでは「激怒」という言葉は使われていない。この報道が出た直後、金正恩氏の激怒ぶりは海外でも大々的に広がったことから、イメージダウンを避けるため配慮したと見られる。

「何だとこの野郎」

脱北者で東亜日報記者のチュ・ソンハ氏の報告によれば、同工場では電気が供給されず揚水ポンプが止まり、飼料も供給されなかったため、スッポンの幼体がほとんど死んでしまったという。これを見とがめた金正恩氏は「おい、お前ら、スッポンが死んでいく間に何をしていた!」と怒鳴りつけた。これに対し、支配人は工場が置かれた窮状を説明したのだが、金正恩氏はこれを抗弁と受け取ったようだ。「何だとこの野郎」といっそう怒り狂ったという。

すると、身長180センチをゆうに超える巨漢の護衛兵たちが両側から支配人の肘を取り、膝の裏側を蹴りつけて膝立ちにさせ、後頭部を抑えつけて身動きの取れない状態にした。そして、金正恩氏は支配人にあらゆる罵詈雑言を浴びせると、「こんなヤツに生きている資格はない」と言い放った。連行された支配人は、即時、処刑されたという。

つまり、金正恩氏が「生きている資格はない」と言ったことが、実質的な処刑命令だったわけだ。

「泣き顔」の職員

以下の映像や静止画からも、金正恩氏は始終一環、不機嫌な様子であることが伝わってくる。

記録映画では、養殖場のイルクン(職員)たちが金正恩氏の前で、こわばった表情で直立不動の姿勢を取ったり、泣き顔のような表情をする老幹部らしき人物も見られる。

今回の映像を見た北朝鮮全国の当局機関は、「元帥様(金正恩氏)が、現地指導で、わが機関に訪れてあのように激怒したらどうしよう」と戦々恐々としているだろう。これも、金正恩式恐怖政治なのかもしれない。

【動画】金正恩氏「処刑前」の現地指導
【画像】金正恩氏「処刑前」の現地指導ハイライト
【画像】養殖場に到着してフロアで、いきなり怒りの表情を見せる金正恩氏。
【画像】用意された椅子に一人だけ座って尊大に振る舞う。ここでも怒りは収まらないようだ。
【画像】養殖現場では、タバコを吸いながら、水槽に足を乗せたり身振り手振りで現場の幹部たちに何かをアピールする。
【画像】ため息をつきながら呆れた表情を隠さない金正恩氏。スッポン工場の現状がよほど気に入らなかったようだ。
【画像】付き人に特大の傘をわざわざ差してもらいながら工場内の別の施設に移動。