脱北女性、北朝鮮軍隊内の性的暴力を暴露 「人権侵害と気づかない」

北朝鮮の軍隊内で、女性軍人に対する性的暴行が横行している実態を脱北女性が明らかにした。

ボイス・オブ・アメリカ(VOA)韓国版によると、脱北女性団体の「ニューコリア女性連合」(本部=ソウル)が最近、北朝鮮で7年以上の軍歴のあった脱北女性らの記者会見を開き、こうした内情を明らかにした。

「労働党入党」をエサに誘い出し性的暴行

記者会見に臨んだキム・ジンミさんは、北朝鮮の人民保安省で7年間勤務した経歴のある元軍人だ。軍隊内の朝鮮労働党副書記から「労働党に入党させてやる」と言われ、「金日成同志革命思想研究室」に呼び出されて性的暴行を受けたと証言した。

北朝鮮では労働党に入党できれば、昇進や配給面で有利な扱いが期待できる。また、思想研究室は容易に出入りできない神聖な場所とされており、それを悪用して性的嫌がらせや暴行が行われることが多いと言う。

幹部家庭の子女たちは、2~3年だけ軍に勤務し、その経歴を武器に大学や幹部養成学校に進学できる。しかし、キムさんは一般家庭出身であり10年間勤務しなければならないので、上官からの性的暴行も告発できず、されるがままだった。

人権の概念すら知らない北朝鮮の人々

北朝鮮の空軍司令部上尉(大尉)として12年間勤務したパク・ヒスンさんも、軍隊内で性的暴行が頻繁に起こっていると証言した。

北朝鮮の軍役は男性で13年、女性で10年という長期間にわたる。軍隊内の恋愛は当然のごとく禁止されており、それが性的暴力の横行を誘ってもいるという。

ただし、北朝鮮には「性的暴力」という言葉すらない。パクさんが、自分が受けた被害が人権侵害だと気づいたのは脱北して韓国に来てからだった。

また、性的暴行が明らかになっても、加害者男性は罰せられない。逆に、被害女性が妊娠した場合は「生活除隊(不名誉除隊)」になる。

その後、実家に帰っても「悪いことをしたのでは?」と後ろ指をさされる。もちろん、上官から性的暴行を受けたとは口が裂けても言えない。

しかし、北朝鮮の女性たちは、そもそも「人権とは何か?」という概念すら知らないことから、何をされても「人権侵害」だとは気づかない厳しい現実がある。

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