北朝鮮独裁者と「美人歌手」たちの秘められた愛

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いずれも最高指導者を称えるプロパガンダ、そして同国の国家思想を宣伝する重要な役目を担っている。金一族の見に触れる機会も多く、その美貌によりロイヤルファミリー入りする女性メンバーもいる。それが、万寿台芸術団の踊り子出身で金正日総書記の妻、そして金正恩氏の生母である高ヨンヒ氏であり、金正恩氏の現夫人である李雪主(リ・ソルチュ)氏だ。

李雪主氏は、かつて存在した銀河水(ウナス)管弦楽団の歌姫だった。銀河水管弦楽団は、金正日総書記の指示によって2009年5月に結成された。2010年にはロシアの楽団、そして今回訪韓する三池淵管弦楽団との合同公演を行うなど精力的に活動していた。金正日氏が創設した楽団といえばポチョンボ電子楽団が最も有名だが、この時期は銀河水管弦楽団の動きの方が目立っていた。

2010年9月に行われた公演で、李雪主氏は「燃え上がれたき火よ」という歌を披露した。その直後の10月、金正恩氏は金正日氏の後継者として公式登場する。金正恩氏の公式登場と李雪主氏の歌姫としての活動が微妙に重なっているのは、偶然ではあるまい。

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注目すべきは、翌2011年2月に行われた新春音楽会で、李雪主氏が「まだ言えないの」「かっこいい人」という2曲を披露したことだ。この時点で2人の関係は明らかになっていなかったが、「まだ言えないの」は金正恩氏と李雪主氏との関係、そして、「かっこいい人」は後継者・金正恩氏に贈られた歌であると筆者は見る。つまり、後継者・金正恩氏と未来の夫人・李雪主氏の存在を巧妙にアピールしていたように思えるのだ。