【実録 北朝鮮ヤクザの世界】28歳で頂点に立った伝説の男
しかし、団結力が強くソクとの義理を命のように重んじる構成員達は、厳しい拷問にも耐えながら決して組織のことはしゃべらなかった。また、ソク自身もグループが大きくなり組織化していくにつれ、現場に出ることは希となり、警察もなかなか尻尾をつかむことができなかった。
正確な数字は不明だが、最終的にソク・グループの規模は100人から200人に達したと言われている。ソクは既に愚連隊のリーダーというより、ヤクザの親分のような存在になっていた。その姿には、愚連隊から出発して「安藤組」を起こした「安藤昇」のイメージが重なる。
軍人と衝突
しかし、そんなソクにも最期の時が訪れる。ある日、ソクが子分を引き連れて町を歩いていると、朝鮮人民軍の軍人2人が、醤油が入った大量のペットボトルを運んでいた。軍隊は統治機関でもあり、住民から最も恐れられる国家機関だが、ソクからすればお構いなしだ。ソクは彼らに話しかけた。