公然と「権力批判」を始めた北朝鮮国民。金正恩氏は大丈夫か
すると突然、ある人が幹部の話を遮るように「どうせまた何か差し出せということではないのか」と言い出した。つまり、建設工事や政治行事の費用という名目で、住民から金品を供出させる行為を批判したのだ。
それを聞いた人々は次々に立ち上がり「党から言われたとおりにしたのに、何も変わっていないではないか」などと言った揶揄を幹部に浴びせかけた。吊し上げになりかねない状況に追い込まれた幹部は、予定を繰り上げて会議を終了させ、帰っていったという。
体制批判を取り締まる立場にある保安員(警察官)、保衛員(秘密警察)は、見て見ぬ振りをする。生きていくためには住民からワイロを取り立てなければならない立場にあるのに、下手なことをすれば庶民の反撃に遭いかねないからだ。
「外の世界のことは何も知らず、文句も言わずにただただ指導者の言いなりになって生きているかわいそうな人々」という北朝鮮の人々に対する固定観念は、時代遅れと言ってもいいかもしれない。
(参考記事:金正恩センスの制服「ダサ過ぎ、人間の価値下げる」と北朝鮮の高校生)