秘密の「刺殺組織」結成の動きも…金正恩氏は訪韓して大丈夫か

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北朝鮮の金正恩党委員長の初の訪韓が年内に実現するかどうか話題となるなか、韓国社会では賛否両論が巻き起こっている。一部からは「金正恩を刺殺する」という過激な声まで出ている。

金正恩氏は9月に平壌で行われた南北首脳会談で、訪韓の意思を表明した。しかし、タイムリミットは目前である。

北朝鮮にとっては大イベントのひとつである、金正日総書記の命日(12月17日)が控えている。少なくとも17日が過ぎるまで、金正恩氏は訪韓の意思を明らかにできないだろう。加えて人権問題や様々な国際環境に照らせば、年内訪韓は困難に思える。何よりも、北朝鮮側の熱が冷めてきているようにも見える。

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それにもかかわらず、韓国内では金正恩氏の初訪韓は既定事実のような伝えられ方もしている。たしかに、韓国で文在寅氏の対北政策は概ねを支持されている。とはいえ、韓国社会で北朝鮮、そして金正恩氏に対する抵抗感は根強い。とりわけ3万人いるという脱北者のなかには、激しい人権侵害が常態化している拘禁施設から逃れてきた人もいる。

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北朝鮮の人権侵害による被害者らが、金正恩体制に対して怒りと恨みをもつのは当然だろう。一部の脱北者団体や保守団体は金正恩氏を「刺殺」するとして、組織化に乗り出しているとされる。

朴相学(パク・サンハク)北朝鮮人権団体総連合常任代表は「金正恩は、いまだに22万人を政治犯収容所に閉じ込めて人権を蹂躙している民族の逆賊」とし「脱北者による金正恩刺殺のため、密かに支援を行っている」と明かしている。さらに、「我々は記者会見などせず、実際の行動で示すだろう」と述べるなど、過激な姿勢をアピールしている。

だが、金正恩氏に対する怒りは理解できるものの、「刺殺」という手段には賛同できない。一部の脱北者団体は過激な言動で世間の目を引こうとする傾向があることから、パフォーマンスに終わるか、単に文在寅政権を揺さぶっているだけかもしれないのだが。

いずれにせよ、実際に金正恩氏が訪韓すれば、反対デモが起きるのは避けられない。脱北者だけでなく、金正恩体制によって直接、間接的に被害を受けた韓国人は多い。金正恩氏の訪韓には様々なリスクが存在するのである。

さらに金正恩氏自身にもリスクがある。金正恩氏は北朝鮮国内で視察する際、普通の人と同じトイレを使えない金正恩氏を守るため、特殊な警護態勢を敷いている。そのあたり、韓国ではどうするのだろうか。

(参考記事:金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない訳

脱北者団体の「刺殺」宣言が脅しだったとしても、金正恩氏は黙ってはいられないだろう。金正恩氏の初訪韓には様々なハレーションが伴うということを、文在寅政権はわかっているのだろうか。