【写真】長引く制裁で活気の戻らない北朝鮮経済特区

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北朝鮮の北東部、中国との国境に面した羅先(ラソン)経済特区は、首都・平壌に次ぐ豊かな地域として知られているが、長引く国際社会の制裁の影響ですっかり活気を失っている。現地の内部情報筋から、そんな様子を収めた写真が提供された。

売春や一家離散も

羅先には、数多くの中国業者が進出し、水産加工工場やアパレル工場を営んでいた。ところが、国連安全保障理事会で採択された対北朝鮮制裁で、輸出ができなくなったため稼働を止めている。業者は中国に帰国せず、投資金の回収のために東奔西走しているが、それも容易ではない模様だ。

一方で不動産市場は活気を取り戻している。別の情報筋によると、中国の投資で建設されたマンションは、今年初頭には1平米が1000元(約1万6300円)で取引されていたが、徐々に上昇し、今では2300〜2500元(約3万7500円〜4万800円)となっている。国境の向こうの中国の琿春の4000元(約6万5300円)前後と比べると、かなり安い。

(参考記事:金正恩氏の「新義州メガプロジェクト」発表で不動産価格が急騰

しかしマンションを買っても、入居をためらう人が多い。北朝鮮当局にどんな口実で没収されるかわからない不安感があるからだという。例えば、外国人向けの賃貸物件として建設されたマンションは、1階の商店、裏の住居ともに空室が目立つ。

以前ほどではなくとも活気を保っているのは羅津(ラジン)市場だ。3年前に建てられた建物では、約6000人もの商人が食品、工業製品など様々な商品を扱っている。しかし、その内実はお寒い限りだ。

「市場に人は多いが、冷やかしがほとんどだ。食品以外のものはあまり売れない」(情報筋)

1日の売り上げが1万北朝鮮ウォン(約130円)にも満たない商人が増えているとのことだ。これでは、平均的な4人家族の1ヶ月の生活費である50万北朝鮮ウォン(約6500円)すら稼げない。制裁で人々の収入が減り、購買力が落ちたことが、市場にも影響を及ぼしているということだ。

「(輸出が)うまくいっていたころはみんなカネを持っていたので服を買ったりしていたが、今では贅沢扱いだ。食べるのに精一杯で、おしゃれをする余裕などない」(情報筋)

それでも「生活が苦しくてバナナが食べられなくなった」という市民の声は、やはり羅先が比較的裕福な地域であることを示していると言えよう。

北朝鮮の他の農村地域では、1日の糧を得るために体を売る女性が絶えず、制裁で操業の止まった炭鉱地域では、貧しさによる一家離散まで起きているとされる。

(参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

2018年11月末に撮影された羅津市場の内部(画像:デイリーNK内部情報筋)

外国人向けに建設された羅先のマンション(画像:デイリーNK内部情報筋)

2018年11月末に撮影された羅先市内のマンション。100平米、120平米、140平米型があり、エレベーターも設置されている(画像:デイリーNK内部情報筋)