「韓国は正気なのか!?」なじられても親北に向かう文在寅政権のDNA
とはいえやはり、朝鮮半島情勢の大きな流れを見るとき、こうした動きが北朝鮮の金正恩党委員長のリードの下に生まれているとの印象を、完全に拭うことはできない。
北朝鮮の巧みな外交術のベースとなっているのは、徹底した「原則論」である。そして、対韓国におけるそれは、「わが民族同士」だ。米国をはじめとする外部の影響を徹底的に排除し、朝鮮半島の問題は「民族自主」の原則で解決しようというものだ。
これはシンプルなようで、多角的な外交関係を持つ現代の民主国家には、なかなか適用しにくいものだ。韓国は米国をはじめ国際社会との協調を抜きにして、安全保障も経済も成り立たない。北朝鮮はそれを知っていて「わが民族同士」を韓国に押し付けてきたのだ。時に、韓国の姿勢が気に入らないと「お前たちは正気なのか」と上から目線でしかりつけ、ゆさぶりを強めるのである。
(参考記事:「韓国は正気なのか!?」文在寅政権に北朝鮮から非難)もともと文在寅政権を支える韓国の左派は、「民族自主」のお題目に弱い。政権や与党幹部の中には学生運動時代、我が道を行く北朝鮮に憧れていた人々が数多くいる。時に、対北対応を巡って米国の「韓国パッシング」が取り沙汰されるが、その原因は文在寅政権のDNAにあるとも言えるのだ。
(参考記事:日米の「韓国パッシング」は予想どおりの展開)金正恩氏は今年の施政方針演説「新年の辞」においても、民族自主の原則を例年にも増して強調した。経済政策などに対する批判から支持率が低迷する文在寅政権は、ほとんど唯一の成果とも言える南北対話を、絶対に失うことが出来ない。つまりそれだけ、金正恩氏に足元を見られやすくなっているというわけだ。
民族自主は決して悪いことではないが、あまり急激に深入りすると、国際協調に戻るのが困難になりかねない。
果たして今の文在寅政権に、その微妙な速度調節をする心理的余裕があるだろうか。
(参考記事:日韓「レーダー照射問題」の背後にある韓国政治の闇)