米軍兵士にも「遠慮なく拷問」を加えた北朝鮮の失敗

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北朝鮮は今から51年前、1968年の1月23日、東海岸の元山(ウォンサン)沖で米海軍の情報収集艦「プエブロ」を拿捕した。「プエブロ号事件」として知られるこの出来事は当時、第2次朝鮮戦争の勃発も予感させる重大事だったとされるが、今となっては遠い昔の話である。

ところが最近、この事件が米朝関係で重要な意味を持つようになるかもしれない展開が生まれている。

米大学生のオットー・ワームビアさんが北朝鮮で長期拘束され、解放直後に死亡した件を巡り、ワシントンDCの連邦地裁は先ごろ、「ワームビアさんは北朝鮮で拷問を加えられていた」と認定した。確かに、ワームビアさんは北朝鮮に拘束されている間に歯列が大きくズレるなど、拷問を受けていた可能性を示すものがある。

(参考記事:【写真】大きく変形したワームビアさんの歯列

また過去にも、北朝鮮で拘束された外国人が拷問を受けていたとする証言は存在する。

(参考記事:「北朝鮮で自殺誘導目的の性拷問を受けた」米人権運動家

しかし数の面で言えば、そのような事例は多いとは言えない。ワームビアさんも、実は拷問を受けていなかったのではないかとする見方が、米国内にも存在するのだ。

ところが、米国の政府や司法の関係者に「やはり北朝鮮は外国人にも拷問を加える国である」と強く印象付けてしまう前例が、この「プエブロ号事件」なのだ。

同事件では、プエブロが北朝鮮の哨戒艇から攻撃を受けた際に乗員1名が死亡。さらに乗員82人が捕虜となり、11カ月間にわたり拘束された。その間、彼らが激しい拷問を受け、米国に帰国して以降も後遺症に苦しんでいたことが、確かな歴史的事実として記録されているのだ。

米国と北朝鮮は2月下旬に2回目の首脳会談を開く予定であり、北朝鮮の非核化に向けた具体的な進展が期待されている。ただ、そこで何らかの成果が生まれたとしても、ワームビアさんに対する拷問が司法で認定されてしまった事実が今後、米国世論にどのように影響するかわからない。

ホワイトハウスが北朝鮮との関係改善に動こうとしても、世論に敏感な議会が反対する可能性が小さくないのだ。下院が民主党に握られている現在の状況においては、こうした要素はいっそう重要な意味を持つように思える。

(参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

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