「乱れる性」に必死で抵抗する金正恩氏

北朝鮮「アブナイ男女の文化」(2)

北朝鮮の金正恩党委員長は、2017年12月23日の朝鮮労働党第5回細胞委員長大会で演説し、「非社会主義的現象の根絶」を訴えた。非社会主義現象とは、文字通り北朝鮮が標榜する社会主義の気風を乱すあらゆる行為を指す。

たとえば賭博、売買春、違法薬物の密売や乱用、韓国など外国のドラマ・映画・音楽の視聴、ヤミ金融、宗教を含む迷信などなどだ。もちろん、その他の刑事事犯も含まれる。

金正恩氏は政権の座について以来、売春の取り締まりに力を入れてきた。

北朝鮮で売買春が拡大したのは、1990年代中頃からのことだ。「苦難の行軍」と呼ばれる大飢饉を背景に、家族を養うため女性が売春に走らざるをえない状況が生まれたのだ。

その後、食糧難は改善に向かったものの、いまも似たような状況が残っている。社会主義的な計画経済が破たんし、なし崩し的に市場経済化が進む中で貧富の差が拡大。農村や貧困層の女性たちの中には、売春でもしなければ食べていけない人々が少なからずいるのだ。

5年前には女子大生らによる売春行為に関する治安当局の内部資料が流出。「通勤時間にバス停や駅で集団的に売淫行為を行っている」という驚くべき実態が明らかになった。

近年では、売春も産業化が進んでいる模様で、客が払う料金も、相手をする女性の年齢によって差がつけられるようになった。

また、北朝鮮の東海岸、中朝国境に程近い羅先(ラソン)経済特区などへの中国人観光客が増えるに従い、彼らを相手にした売春ビジネスが横行。客との値段交渉はレストランや道端で行われ、話がまとまればホテルや車の中、或いは路上で性行為を行う露骨さに、金正恩氏が激怒。「外国人相手の売春行為は銃殺」との指示を下したとも言われる。

まさに変貌する社会、そして「乱れる性」に対するなりふり構わぬ抵抗と言える。しかし、金正恩氏が今なお「非社会主義的現象の根絶」を訴えるのは、その努力はほとんど実を結んでいないことの証左と言えるだろう。