金正恩氏の親筆文書で明かされた「乱れた性」産業化の実態

北朝鮮「アブナイ男女の文化」(3)

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北朝鮮の金正恩党委員長が、売買春の横行など国内の「乱れる性」に神経をとがらせている様子は、彼が自らサインした内部文書からも読み取ることができる。

脱北者で平壌中枢の人事情報に精通する李潤傑(イ・ユンゴル)北朝鮮戦略情報センター代表は、2016年9月9日に出された金正恩氏の「チンピル」指示書を入手した。「チンピル」とは、漢字で書くと「親筆」となり、金正恩氏が直接決裁のサインを書いたという意味だ。

権力者の「やりたい放題」

指示書のタイトルは、「奉仕網で起きている退廃的で変態的な行為をなくすための闘争を強く繰り広げるための対策案」となっている。奉仕網とは、朝鮮労働党や軍などが運営するレストラン、カフェ、スーパー銭湯などの収益事業(奉仕機関)を一括りにした呼び方だ。

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指示書は「変態的行為」の実態について、次のように嘆いている。

「食堂、清涼飲料店などの一部の奉仕機関では、個室、マッサージ室、サウナなどを利用し、夜間奉仕などの違法な奉仕活動を行い、売淫(売春)、賭博行為など退廃的で変態的な行為を助長している。奉仕員たちの色情的で醜い行為で客をひきつけていることをはじめとして、奉仕機関では社会主義制度のイメージを乱す現象が少なからず起きている」

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李代表が北朝鮮国内の関係者の話として伝えたところでは、このような現象は首都平壌のみならず、南浦(ナムポ)、平城(ピョンソン)などの平壌周辺の都市、清津(チョンジン)、咸興(ハムン)、新義州(シニジュ)などの地方の大都市や、さらには郡部にまで広がっているという。

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それにしても、独裁者である金正恩氏が自ら懸念を募らせるこうした実態が、どうしていつまでも一掃されないのか。それは、こうした売春ビジネスの多くが、有力機関の大幹部たちの庇護を受けているためだ。奉仕網は党や軍、行政機関の収益事業として営まれている。それはつまり、売春ビジネスが党・軍・行戦機関の収入源になっているということだ。

また、そもそも北朝鮮国内におけるこうした「性の乱れ」は、権力者たちのやりたい放題が発端になった部分もある。

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1990年代の大飢饉「苦難の行軍」に前後した計画経済の崩壊と、その後のなし崩し的な市場経済化、そしてその結果としての極端な格差拡大により、同国社会には拝金主義がはびこってしまった。その中で、権力とカネを握る有力者たちは、自らの欲望を満たす仕組みを社会に生み出させたのだ。

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