「男女関係に良いから」北朝鮮社会を退廃させた違法ドラッグ

北朝鮮「アブナイ男女の文化」(4)

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日本国内で、たとえば芸能人などが薬物乱用で摘発される際には、かなりの割合で「男女関係」が絡んでいる。そして、こうした分野に強いジャーナリストによれば、「男女間の快楽目的で薬物を使用する人ほど、使うのを止めるのは難しい」という。

これは、覚せい剤汚染が深刻な北朝鮮においても同様だ。

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米紙ワシントン・ポストは2017年11月17日、様々な年齢と職業の男女25人から聞き取りを行った脱北者のインタビュー特集を掲載した。その中で、2014年に脱北した薬物密売人が、次のように語っている。

「(覚せい剤は)気持ちよくしてくれて、ストレスを発散させてくれるし、男女の関係にも大きな助けになる」

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また、この密売人は次のように語っている。

「私の主な仕事は、オルム(氷=覚せい剤を表す符丁)を売ることだった。当時、会寧(フェリョン)市に住む成人の70~80%ぐらいはオルムをやっていたと思う。私の客は、ごく普通の人々だった。警察官、保衛員、朝鮮労働党員、教師、医師たち。オルムは誕生日のパーティーや高校の卒業祝いのための、非常に良い贈り物だった」

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あくまで個人の推定ではあるが、市内に住む成人の8割が覚せい剤を使用していたとは、実にショッキングな証言である。会寧市の人口は13~15万人前後とされているから、その8割が成人だとすると、ひとつの市で8万人強~9万人強が覚せい剤を使用しているということになる。

北朝鮮では1990年代、金正日総書記の指導の下、外貨獲得を目的に覚せい剤を国家ぐるみで生産。特殊機関などが海外への密売に力を入れ、外貨稼ぎ競争を繰り広げた。

ところが、思わぬ事態が生じた。労働者が工場から原材料や製品を横流しするのはよくあることだが、覚せい剤も例外ではなかったのだ。国内に横流しされた覚せい剤で中毒者が続出すると、金正日氏は覚せい剤の製造を中止し、組織を解散するように命じた。

これにより、覚せい剤製造技術を持った人々が野に放たれてしまう。仕事を失い、食べるのに困った技術者たちが、国内での覚せい剤の密造・密売に乗り出したのだ。

その後、当局は厳罰を持って取り締まっているものの、実際には摘発する側の保安員(警察官)までが覚せい剤を乱用しており、汚染が止まる気配はない。そしてそこに、1990年代の大飢饉「苦難の行軍」をきっかけにした売買春の拡大などが重なることで、北朝鮮社会の退廃はいっそう進むことになってしまったのだ。

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