米朝決裂で金正恩氏「最愛の妹」の憂鬱なこれから

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北朝鮮の朝鮮中央放送は12日、国会に相当する最高人民会議第14期代議員選挙(10日投票)で当選した687人の名前を発表した。その中には、金正恩党委員長の名前は入っていないもようだ。金正恩氏は、2014年3月に実施された前回選挙で当選しており、背景が気になる。

もっとも、北朝鮮の選挙は国家が立てた候補に事実上、賛成票を投じるだけの仕組みだ。北朝鮮の最高指導者が代議員にならなかったのは史上初だが、だからといって、本質的な意味での「異変」とは言えない。

一方、今回の選挙では金正恩氏の妹の金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長が当選した。前回選挙には出なかったが、2016年と17年に最高人民会議の会議に出席しており、欠員が生じた代議員のポストを引き継いでいたのかもしれない。

今や、金与正氏が兄の最側近のひとりであることを疑う向きはないだろうが、彼女の今後については気になる部分もある。

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金正恩氏が、昔から妹を大事にしてきたことはつとに知られている。大事にし過ぎて、彼女の友人を大量に失踪させる「事件」まで起こしたほどだ。

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金与正氏は現在、朝鮮労働党中央委員会の第1副部長の肩書を持っているが、これは日本で言うなら、中央省庁の事務次官とか官房長とかに匹敵する役職だ。そして、彼女が党内で籍を置いているのは、思想教育やプロパガンダ、対外宣伝を統括する宣伝扇動部であると見られている。

実際、金正恩政権になって以降の北朝鮮の宣伝活動は、以前と比べて柔軟というか、あけっぴろげというか、とにかく金正日総書記の頃の神秘主義とは一線を画すものに変わった。そこにももしかしたら、金与正氏の若い感性が反映されているのかもしれない。

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しかし、そのような路線が続くかどうかは、ひとえに北朝鮮を取り巻く国際情勢に関わっている。金正恩氏は、平壌で6、7日に開かれた党宣伝活動家大会に書簡を送り、「宣伝活動をもっと斬新に行え」と激を飛ばしたが、それも現在の米韓などとの対話ムードが維持されることが前提ではないのか。情勢が険悪化すれば、宣伝活動の自由度も狭まるかもしれない。

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ちなみにこの大会を主管したのは党宣伝扇動部である。部長を兼務する朴光浩(パク・クァンホ)党副委員長は、病気のためか長らく公の場に姿を現していない。そこで、もしかしたらこの大会で、金与正氏が中心的な役割を担い、国内における政治的な「格」をもう一段上げるかもしれないとも思ったのだが、そうはならなかった。

金与正氏は金正恩氏にとって、日本の大阪にルーツを持つ血を分け合った数少ない家族のひとりである。今後も兄の側近としての地位は変わらないだろうが、その活躍の形は、今後の情勢に大きく影響を受けるはずだ。