監禁され性売買強要…「売られる北朝鮮女性」の生々しい実態

英国団体が実態報告書(上)

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米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、英国の対北朝鮮人権団体「コリア未来戦略」が新たな「性奴隷」報告書を発表したと伝えた。今月8日の国際女性デーに合わせて出されたこの報告書には、中国で過酷な状況に置かれた脱北女性の実態が生々しく記されている。

中国で売春は違法だが、多くの北朝鮮女性たちが売春に従事させられていることは今回の報告書だけでなく、数多くの調査や取材によって明らかになっている。彼女たちの多くは、人身売買ブローカーによって売られた人々だ。ブローカーたちは、女性を騙して中国に脱北させ風俗業に従事させたり、結婚相手がいない中国人に売り払ったりする。

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ここ最近、北朝鮮当局が中朝国境の統制を強化していることなどにより、脱北者は減少。そのため人身売買の「相場」が上がり、ブローカーは1人でも多くの女性を売ろうと血眼になっている。

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女性たちは1,000元(約16,000円)から50,000元(830,000円)で売られ、移住労働者が宿泊する施設に連れて行かれる。そして監禁されるような形で売春を強要される。たった数万円から数十万円で人として、女性としての人生を奪われるのだ。

北朝鮮当局はブローカーに対し、死刑を含む厳しい態度で臨んでいる。しかし、被害は一向に後を絶たない。

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そして中国を舞台とした北朝鮮女性の人身売買については、トランプ政権も問題視している。昨年11月には、北朝鮮政府が人身売買の被害を防止するための最低限の措置を講じていないことを理由に北朝鮮を資金援助の禁止対象に再指定した。

今回の報告書は、今も中国でセックスワークを強要されている脱北女性からの長期間にわたる聞き取り調査や、かつて同様の被害に遭った韓国在住の脱北者たちからの聞き取りに基づいている。現在も中国で極秘に救援活動をおこなっている団体との共同作業による成果だ。

報告書によると、中国でセックスワークに携わる北朝鮮女性たちが稼ぎ出すおカネは、年間1億ドル(約104億円)にも達するという。もちろん、本人たちの手に渡るお金はほんのわずかな額だ。被害者の中には、10代の少女たちが含まれていることもわかっている。(つづく)

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