核兵器より「親の仕送り」が頼みという北朝鮮軍の凋落

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先月27日、北朝鮮の平壌で「朝鮮人民軍第5回中隊長、中隊政治指導員大会」が開催された。金正恩党委員長も大会に参加し、「現在の革命情勢は、これまでのいずれの時期よりも人民の軍隊の軍事力強化を求めている」などと述べるなど、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)に対する期待を示した。

しかし、今の北朝鮮軍はこうした期待に応えられるような「立派な軍隊」ではない。軍紀はすでに乱れきっており、上官が一種のワイロとして女性兵士に「性上納」を強要することも横行している。

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総兵力120万人と推定されている北朝鮮軍だが、長引く経済難で弱体化し、その実態は「飢える軍隊」と揶揄されている。大規模訓練時以外、兵士の多くは農作業の現場にかりだされる。そこでは農民を襲撃する事件すら続発している。

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北朝鮮は、体制のプロパガンダに利用するため、故金日成主席および故金正日総書記の誕生日や朝鮮労働党、朝鮮人民軍などの創建記念日までに大型工事を終え、その当日に完成式典を行うことがよくある。この際、当局から求められた期日に間に合わせるため「速度戦」という突貫工事が行われるが、軍人たちが大量に動員される。しかし、安全対策を無視した工期短縮のせいで、1989年には500人以上の軍人が犠牲になる事故も起きている。

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食糧不足による栄養失調や、危険な建設作業場への動員。こんな軍隊にわが子を送らなければいけない親たちは心配でたまらないだろう。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、親たちは毎月、または年に数回、入隊した子どもたちへ送金しているという。このいわば「仕送り」があってこそ子どもたちは飢えから逃れ、健康を維持することができる。仕送りが出来ない貧しい家庭出身の兵士たちが飢えに苦しむ軍隊生活を送っていることは想像に難くない。

金正恩氏は、このような北朝鮮軍の惨状をあまり理解していないようだ。金正恩氏は度々北朝鮮軍の部隊を現地視察している。しかし、視察の際はあらかじめ調達してきた物資を部隊の倉庫にぎっしり詰めて、食事なども立派なものを並べるという。現地指導が終わったら、全ては車両に積まれてどこかへ消えていく。倉庫はガラガラになり、兵士たちの食卓にはトウモロコシのご飯と塩大根だけ残る。こうした悪弊は金正日総書記の時代からずっと続いているとRFAは指摘する。

金正恩氏は冒頭に述べた大会で「人民軍を百戦百勝の最精鋭強兵に強化し、発展させるための跳躍台が築かれた」と強調したが実に空しい言葉である。

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