金正恩氏ブチ切れでよみがえる「スッポン処刑」の悪夢

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ハノイでの米朝首脳会談が決裂したことをきっかけに、金正恩党委員長がまたもや処刑と粛清による恐怖政治を始めたのではないかと見られている。韓国紙・朝鮮日報は5月31日付で、首脳会談の事前交渉に当たっていた北朝鮮国務委員会の金革哲(キム・ヒョクチョル)対米特別代表が、平壌郊外の美林(ミリム)飛行場で銃殺されたと報じた。

朝鮮日報の銃殺説は、現時点で確認されたものではない。英国人の北朝鮮ウォッチャー、チャッド・オーキャロル氏は、処刑説が出る直前に金革哲氏を北朝鮮の外務省で見かけたという人物の情報をツイートしており、今のところは真偽不明の情報と見ておいた方がよさそうだ。

しかし、このような情報が出るのも、金正恩氏が過去に粛清・処刑を繰り返してきたからに他ならない。

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金正恩氏は2013年の12月に叔父の張成沢(チャン・ソンテク)氏を無慈悲に処刑したことを皮切りに数多くの幹部を粛清・処刑した。2015年4月には、当時の人民武力部長(防衛相)だった玄永哲氏が、文字通り人間を「ミンチ」にする高射銃で処刑された。

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金正恩氏によって処刑されたのは朝鮮労働党の幹部や朝鮮人民軍の幹部だけではない。玄永哲氏が処刑された前月には、銀河水管弦楽団の総監督、40代の男性初級幹部2人、40代女性の合計4人が、スパイ罪で逮捕された韓国人男性、キム・グッキ氏と接点を持った罪で銃殺された。4人は遺体が粉々になり原型をとどめないほど凄惨な殺され方をしたと伝えられている。

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一方、北朝鮮国営の朝鮮中央通信は1日、金正恩氏が北部・慈江道(チャガンド)の工場や教育施設などを視察したと報じた。視察を報じた記事によると、金正恩氏は教育施設に備えられた体育館のシャワーの水が出ないことなどを叱責したという。

金正恩氏は「設計と施工、管理運営がすべてうまくいっておらず、不愉快だ」と述べるなど、かなり厳しい言葉で現場の管理者たちを非難したが、気になるのはこの教育施設の担当者らの処遇である。

金正恩氏は2015年、スッポン養殖工場を視察した際、管理不備に激怒。支配人を銃殺させてしまった。北朝鮮メディアは、金正恩氏が激怒した様子を動画で公開している。「見せしめ」を、全国民の前で行ったわけだ。

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今回、金正恩氏に叱責された現場の担当者らがなんらかの責任が取らされることは避けられない。最悪の場合、処刑の可能性もあるのだ。今、北朝鮮では政権内だけでなく、一般社会においても不穏な空気が漂っているようだ。