危機の金正恩、強制動員で「日照り戦闘」開始

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「党の呼びかけとあらば、一心になって立ち上がり、山も動かして海を埋める奇跡を絶えず想像するのがわが人民の闘争の伝統であり気質です」

しかし、最高指導者の言うことすら聞こうとしない人が多く、強制動員に乗り出したということだ。

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保安員は通行人に公民証(身分証明証)の提示を要求、所属機関を確認した上で、「仕事をすべき時間に仕事をせずに何をしているのか」と言いがかりをつけ、農場に連れて行くというものだ。

北朝鮮の行政処罰法は90条で仕事をしないこと、無断欠勤を続けることを違法とし、処罰の対象と定めている。つまり、「遊んでいるなら仕事をしろ」と強制動員するのにはそれなりの法的根拠があるということだ。

ノルマは畑の5畝に水やりをすることだ。バケツを手に持ち、井戸や用水路、ため池で水を汲んで畑まで運ぶ。ノルマを達成してようやく放免となるが、「仕事をした」ということを示す確認証を受け取らなければ、次の検問所でまた連行されてしまう。

北朝鮮の農業機関での勤務経験を持つ脱北者は、過去にも通行人に難癖をつけ、農場や建設現場に送り込むことがあったと述べた。

「燃料不足で揚水機が円滑に使えない上に、人員の動員もうまくいっていないので、通行人でも捕まえて強制動員しようということだろう」

しかし、北朝鮮農業が抱える根本的な問題を解決しない限りは、「日照り戦闘」は延々と続くだろう。

韓国農漁村公社農漁村研究員のキム・グァンホ氏は、MBCの番組で北朝鮮の農業の問題について、用水路の壁が土で固められていることで水が漏れること、寿命が6〜70年と言われる貯水池のメンテナンスが資材不足などで行われず貯水能力が発揮できないこと、そして、1970年代から進められた「全国土段々畑化計画」を挙げた。