人体を跡形もなく消し去り…金正恩氏の「公開処刑」ノウハウ

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咸鏡南道(ハムギョンナムド)の情報筋は4月はじめ、韓国デイリーNKとの電話取材で、「2月はじめ、咸興(ハムン)市の沙浦(サポ)区域にあるヨンデ橋の下の空き地で、薬物密売人らの公開裁判があった。この裁判で、首謀者とされた41歳の男が死刑を宣告され、ただちに銃殺された」と伝えた。

2015年頃までは頻繁に情報の入ってきた公開処刑だが、北朝鮮は国際社会の目を気にしてか、ここしばらく控えていたもようだ。このような形で銃殺刑が執行されたとの情報が入ってくるのは、久しぶりのことだ。

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公開処刑は金正日総書記の時代、治安維持を目的に頻繁に行われた。10万人単位の餓死者が出たとされる1990年代の大飢饉「苦難の行軍」に際し、当局は国民に対する統制が利かなくなるのを恐れたのだ。

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そして金正恩氏の時代になると、北朝鮮の公開処刑はいっそう独特なものになった。韓国に亡命した元駐英北朝鮮公使の太永浩(テ・ヨンホ)氏は近著『3階書記室の暗号 太永浩の証言』(原題)で、次のように証言している。

「金正恩は大規模な建設事業や国家的な記念事業を行う際に、必ず1人か2人を処刑する。それも事業の開始段階で殺すものだから、皆、縮み上がってしまう」

太永浩氏によれば、金正恩氏がこのようなやり方を始めたのは2012年末、錦繍山(クムスサン)太陽宮殿を大規模改修したときからだったという。宮殿前の広場に花壇の造成が各機関に割り当てられたが、工期を守るのが難しくなった機関の手抜き工事が発覚し、幹部1人が金正恩氏の命令により銃殺されたという。

金正恩氏による処刑にはもうひとつ、大口径の高射銃を使い、人間をミンチにして殺すという特徴もある。その場面が、衛星写真で確認された例もある。

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高射銃を使ったのは、金正恩氏が初めてだ。従来の銃殺はカラシニコフAK47自動小銃で行われていたのだが、それでも人体はズタズタになる。高射銃を使って人体を跡形もなく消し去れるという「独創性」は、金正恩氏の残忍な人間性の本質を物語って余りある。

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北朝鮮当局が最近になって公開処刑を再開したのは、国際社会による制裁下で経済難が深刻化し、犯罪が増え、治安が乱れてきたためだとされる。

北朝鮮当局は表向き、制裁による経済難を国民の「団結」で乗り切ると宣伝している。しかしその「団結」は昔と同じく、恐怖政治によってタガをはめられたものなのだ。