妊婦も殺すワイロ漬け医療…「金正恩命令」も効かず

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医療崩壊という現実のなかで、現場の医師たちは献身的に診療に携わっていたが、国から出る雀の涙ほどの給料に頼っていては、生きていくこともままならない。結果、ベテランで優秀な医者たちは、自宅で民間診療所を開き、経済的に余裕のある特権階級幹部やトンジュ(金主)を顧客に医療活動を続けている。北朝鮮で最大規模を誇る産婦人科医院「平壌産院」は、特権階層や富裕層しか利用できなくなってしまった。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると6月、平壌産院を訪れた妊婦が適切な治療を受けられず死亡。北朝鮮当局は同産院の不正実態を集中的に調査し、産婦人科医6人を電撃解任したと伝えた。RFAの情報筋によると、船橋(ソンギョ)区域に住んでいた妊婦が出産を控えて呼吸困難に陥り、平壌産院を訪れた。しかし、ワイロをわたすことができず、控室に追い出され呼吸が停止し、胎児と一緒に死亡したというのだ。

北朝鮮では社会のあらゆる場面でワイロが必要となるが、これこそ最も極端な例と言えるかもしれない。

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妊婦の死亡に対して、平壌産院は船橋区域の産婦人科で妊婦の健康異常を早期に正常検診せず対策も立てていなかったからだと責任を回避しようとした。死亡した妊婦の遺族は、平壌産院で適切に治療していたら絶対に死んでいなかったと抗議したが、受け入れられなかった。