「同族への信義を捨てた」金正恩氏、文在寅氏の“排除”加速か

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北朝鮮の対韓国機関、祖国平和統一委員会の統一宣伝局は8日、米韓合同軍事演習を巡り韓国政府を非難する真相公開状を発表した。

公開状はまず、「南朝鮮当局は、対話の場ではわれわれと『和解と平和』の握手をし、後ろでは『軍事的備え態勢においては抜かりがあってはならない』と力説し、外部勢力と共に同族に反対する合同軍事演習を引き続き強行している」と指摘している。

そして、韓国政府が昨年から今年にかけて推進してきた米国との軍事協力や、軍備増強の事例を列挙しながら、「同族に対する信義を捨てて米国の対朝鮮圧殺策動に便乗してきた南朝鮮当局は、われわれをして国家安全の潜在的・直接的脅威を取り除くための対応措置を取らざるを得なくした責任から逃れられず、疲弊するほど高価な代償を払うことになるであろう」と警告している。

注目すべきは、この公開状が米国には非難の矛先を向けず、ただ韓国だけを槍玉にあげている点だ。

金正恩党委員長は今後もトランプ米大統領との対話を維持することを望む一方、韓国の文在寅大統領との個人的関係は「切る」腹を決めているのではないか。

北朝鮮の対韓国宣伝サイトである「ウリミンジョクキリ(わが民族同士)」は6月28日付の記事で、南朝鮮の執権者――つまりは文在寅氏を「思考と精神がマヒしている」などとして、けちょんけちょんに罵っている。普通、何か気に食わないことがあっても、そのうち再会することを前提とするならば、ここまで口汚い言葉は使わないものだ。

金正恩氏の中では文在寅氏に対し、「もう十分だ」との感情があるのではないか。

しかしこのような状況が続くと、文在寅氏としても言われっぱなしではいられない。韓国側はこれまで、北朝鮮に配慮して、様々な問題に目をつぶってきた。特に、北朝鮮の人権問題からは意図的に目を逸らしており、そのせいで国内外の批判を浴びてきた。

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南北対話がとん挫し、北から引き続き悪罵が飛んでくるようなら、文在寅政権としてもこれ以上、北朝鮮を大目に見れなくなるだろう。だが、それにより南北が完全に決裂すれば、文在寅氏にとって最大にして唯一のセールスポイントがなくなる。

果たして文在寅氏はこの袋小路から、どのようにして抜け出すのだろうか。